劇場公開日 1963年3月1日

天国と地獄のレビュー・感想・評価

全66件中、61~66件目を表示

4.0野良犬より好き

2014年11月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

興奮

『野良犬』がほぼ1人で小規模な盗みの事件を捜査するのに対して、今回は大規模事件を大勢で調査する。その面白さは、捜査本部でのそれぞれの担当の情報交換の場面で遺憾無く発揮されている。個人的に刑事ものとして明らかに『野良犬』より面白いと思う。

仲代達矢演じる警部がメインとなって事件の捜査をするパートは後半だが、前半もまた別の面白さがある。特に三船演じる権藤と妻が、会社の部下の子供のために翌日どうしても必要な金を支払うか支払わないかについて口論する場面。究極の二者択一を男女が話し合うシーンは哲学的な面白さがある。迷い、苦悩する三船の表情も見事。

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えら

4.5初黒澤

2014年10月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、CS/BS/ケーブル

興奮

高校時代にリバイバルで観た初黒澤。
子供が救出されるまでの密室劇の濃密さは尋常ではない。アップを避けて客観性に徹しているのは流石。救出シーンすらロングですから。
初黒澤には一番かと。

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クーガ

3.0人間の本領。

2014年10月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

知的

何が天国で、何が地獄か、人によって感じるところは違うのだろうけれど。
他者と比較衡量し、自身を卑下しても得るところは多くない。しかし、分かっていても比べてしまうのがヒトの性なのだ、ということを突いてくる。
虚栄心、良心、情、恨、…。

1人の人間の依って立つ処は?と自問させられた。

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Nori

5.0黒沢映画の中で一番好き

2014年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

こんなにスリリングで、面白い映画は無い言い切ります。
これぞ黒沢です。

序盤は録音のせいかセリフが聞き取れなかったが、あるシーンをきっかけに最後まで見入ってしまった。

スゴイ監督だと思った。本当にスゴイ映画だ。

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サブ

3.0少し年取った三船さん

2014年3月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

難しい

何度見ても三船敏郎さん志村喬さんはかっこいい。
DVDで見た時よりも、ずっと聞き取りやすく画面も見やすかった。
少し長すぎて眠かった´д` ;本当にいいものを作りたい気持ちと、子供を誘拐され心配な気持ちとのせめぎ合い。

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Lenore

5.0天国と地獄とは?

2019年9月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

舞台は横浜、新田間川沿いの貧民街にあるボロアパートから見上げる浅間台の高台にそびえる豪邸のビジュアルは見事な映像表現で端的に物語の構造を示しています

下から見れば権藤の豪邸は天国の象徴
では犯人の住む低地は地獄なのでしょうか?
本当の地獄は黄金町の麻薬街の一角です
日本とは思えない光景として監督は強調して写します

本当に天国と地獄を見たのは権藤だけなのです
あくまでも彼の物語です
冒頭の密室劇は大金が彼に取って死活のものでかつ緊急性のあるもので簡単には支払えないものだという説明だけにあれだけの尺は必要ではありません
物語を通して彼が天国と地獄を味わうことを説明するためです

犯人の動機は怨恨でもなく、権藤との接点はボロアパートの窓から豪邸が良く見えるだけ
何故に権藤の豪邸を羨むだけで誘拐事件を起こすにいたったのかは一切説明しません

ラストシーンは拘置所の面会室です
シャッターが降ろされ権藤の後ろ姿で終わります
そこでもそれだけが動機だとして終わるのです
後に残された権藤の思いはどのようなものでしょうか?
正に不可解、理解不能でしょう
しかし、人生をかけた全てのものを失いながら、それでも復活をとげると努力を誓う彼の言葉が、犯人を取り乱せたのは間違いありません
地獄に引きずり下ろせなかったことが明らかになったからです

何故彼は天国を憎んだのか?
何故彼は左手の甲に L字の傷を持っているのか?

本作公開は1963年
正にオリンピック景気の真っ只中です
これから高度成長を遂げていく日本の象徴が権藤なのでしょう
だから権藤は過度にアメリカナイズされた生活をしているのです

光あれば影もあり、その経済成長に取り残されている人々もいます
それが彼のアパートのある低地の住民達です
彼がそれを代表しているわけです

では何故彼はインターンという設定なのでしょうか?
緻密な誘拐犯罪を計画実行でき、ヘロインによる殺人を行えるインテリである必要性からだけでしょうか?

インテリの若者なら1960年の安保闘争に彼は当然参加していたはずです
現代のマスゴミが報じる11倍に水増しした主催者発表の動員数ではなく、60年安保闘争は掛け値無しに13万人を国会周辺のデモに動員した大運動だったのです
今日の先鋭化した特殊な思想を持つ人間が運動しているようなものではなく、ほとんど全ての大学生が参加していたと思われます

この時の騒乱は激烈で機動隊との衝突で女子大学生の死者まで出たのです
それは本作公開のたった3年前のことなのです

犯人は年格好から見てその世代だと思われます
彼の左手の傷はそのデモ隊と機動隊との衝突で負ったものかも知れません
L字の傷
Lとはlaborer労働者のLです
階級の刻印でした
労働者の対置語は資本家
つまり権藤のことです

彼は安保闘争に敗れインターンに戻りました
しかしその後の総選挙では自民党を大勝利させ、そのような闘争を忘れて高度成長にひた走る国民を彼は憎んだのではないでしょうか
そしてその象徴として権堂を攻撃したのではないでしょうか?

その心理構造は70年安保闘争に敗れ、先鋭化した過激派に似ています
彼らは三菱重工業ビル爆破事件というテロを行ったのです
つまり本作はその予言とも言えるのです

監督はそのようなことは一切匂わせもしません
考えすぎかも知れません
しかし黒澤監督は時代の背景を常に作品の中に反映させる人なのです

そのように捉えれば
犯人にとって天国と地獄とは、安保闘争で権力に打ち勝てるかも知れない高揚感と、それに敗れ忘れさられようとしている現実
それが天国と地獄だったのではないでしょうか?

脚本はまっしぐらに一切無駄無く突き進みます
緊張感を途切らせることなくラストシーンまで突進します
見事としかいいようがありません
特急列車のシーンの緊迫感は列車の猛速度と合わさって強烈な印象があります
腰越の高台に二台の車が出会うシーンも素晴らしい展開です

仲代達矢の切れる警部役もプロフェッショナルな空気を見事に演じています
またそれが一目でわかるような初登場シーンの演出も流石です

捜査本部長役の志村喬が発言しそうで一言も発言しません
しかし彼の大きな存在感がそれでも演技できています
もの凄い役者です

犯人が行く無国籍の様相を示すクラブのシーン
もしかしたらブレードランナーの元ネタはこれかも知れないと思わせます
リドリースコット監督が本作を観ていない訳が絶対にありません

半世紀以上昔の伊勢佐木町と関内駅のガード下の光景も興味深いものでした

最高の警察映画でしょう

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あき240
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