劇場公開日 1963年3月1日

「映画が国の法律を変えさせたなんて、すごい」天国と地獄 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 映画が国の法律を変えさせたなんて、すごい

2025年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

やはり、「ピンクの煙」が印象的。ストーリーの中で効果的に使われているし、全編白黒の中でそこだけカラーなのはインパクトがある。
ラストの主人公権藤と犯人の対峙は、映画のタイトルの「天国と地獄」を象徴していて、見ごたえがある。特に、三船はイスに座って上半身だけの演技だが、「実に、いい顔」と思った。実直で心優しく、仕事の能力も高い人物で、この場面では落ち着いていて肝が据わっている。威厳がありながら、親しみも感じる。

Wikiによると、
映画化の動機は2点あり、「徹底的に細部にこだわった推理映画を作ってみよう」ということと「当時の誘拐罪に対する刑の軽さ」に対する憤り」だという。
映画は興行的には成功を収めたものの、(中略)国会でも問題として取り上げられ、1964年の刑法一部改正(「無期または3年以上の懲役」を追加)のきっかけになった
そうである。
警察が、あえて犯人を泳がせたり、マスコミにニセの情報を流すことを依頼したりするのは、観ていて「それはやりすぎ。違法捜査だ」と思ったが、むしろ黒沢監督はそこが狙いだったということ。映画が国会を動かしたというのはすごい。

p.f.naga
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