劇場公開日 1963年3月1日

「【チョットネタバレあるよ】マッチングアプリあればなぁ!電車から現金投下のスリルと、最後の面会の山崎努の長台詞が全て。」天国と地獄 満塁本塁打さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【チョットネタバレあるよ】マッチングアプリあればなぁ!電車から現金投下のスリルと、最後の面会の山崎努の長台詞が全て。

2022年11月11日
iPhoneアプリから投稿

「冬は寒くて眠れない・・夏は暑くて眠れない、【母親も死んじまった、そんな貧乏な俺からしたら】丘の上の大邸宅から見下ろしている あんたはまるで天国の住民に見えましたよ」【実際にレンタルビデオで観た34年前の記憶】

この山崎努の犯人の生々しい拘置所か刑務所の面会の長いセリフが全て

当時日本人は相対的にみれば所得格差はあっても、ほとんどの人が貧しかったから
皆観客がド共感なのだろう。

あとあえていえば2つ山場がある。

誰でも知っている、模倣犯を生んだ、走る特急列車からの🚃スピード感溢れる現金投下。
酒匂川だったような・・当時としては最高レベルの緊張感あふれる瞬時のやり取り。

誘拐されたのは社長である自分の息子でなくて良かったホッとした。

なぜ会社の経営権が乗っ取られる危機的状況に、他人、ましてや使用人運転手の子供に
大金はたかにゃいかんのか?冗談じゃない。知ったことか!

しかし自分の目の前で、使用人の運転手が苦しんでいる。その苦しみは
今自分が味わいかけた苦しみなのだ。
下っ端の使用人運転手とはいえ・・というわかりやすい葛藤。

あと当時の盛り場はレトロへんちくりんで、34年前レンタルビデオで観た時でさえレトロ感違和感MAXだったよ。
変なダンスに変な服装、変な調度品に貧相な街並み。

ただ、山崎努だけは、精悍な影のある二枚目青年なのだった。二枚目=イケメンの上級な!Z世代さん。

さすが世界の黒澤明、緩急自在。

だがひとつだけ当時から疑問❓不満なのだ。
高校進学率でさえあまり高くなかった当時【中卒、上京住み込み=金の卵】
大学しかも医学部に進学できて、長身の二枚目。

ちょっとだけ堪えれば、前途洋々の未来が開けるのに!

なんで誘拐なんてリスクを犯すのか❓金持ちの女引っ掛ければイイではないか?

【マッチングアプリor出会い系サイト】が無い時代の【たぶんギャンブルかなんかで学費も何もニッチもさっちも行かなくなった】貧乏医学生、二枚目青年山崎努の不遇、最後の咆哮が不憫でならない。
出会い系サイトがあればなぁ。

ちなみにこの映画の模倣犯は、医学生でもなければ、旧制中学か新制高校にも進学できなかったはず。
だって当時は【世の中全体が低学歴】だったから。

満塁本塁打