テルマ&ルイーズのレビュー・感想・評価
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本物の2人はやはりカッコいい
NHKBSの「照子と瑠衣」が、次で最終回になるので、原作の大元になっている今作を改めて視聴。
照子と瑠衣もいい味を出しているが、やっぱり本物の2人は無茶苦茶カッコいい。
はじめは、テルマとルイーズ2人が選択した行動の「ボタンのかけ違い」が、だんだん事を大きくしたという自業自得感が漂う。けれど、実はその前に、そもそもルイーズは社会から「ボタンをかけ違いさせられていた」ということがわかる。
そうした救いようのない物語だが、2人は、降りかかる閉塞感を、クソ男たちから学んだやり方で、打ち破っていくところが爽快。
主人公たちが代わりに弾けてくれるこうした映画のおかげで、今日も自分は道を外さずに生きていける。感謝。
今作のブラピは、かなり華奢だったけれど、「おお、これが太くなると、F1の時の肉体になるなあ」と思う体付きだった。
百合に挟まるな
照子と瑠衣を読んで…
井上荒野さんの『照子と瑠衣』という小説を読んで思い出し、primevideoで配信終了間近だというのも相まって鑑賞。公開当時に観て以来なので、かなりの年数が経過しています。
いわゆる、アメリカン・ニューシネマの流れを踏まえた、女性2人が主役のロードムービー。人気者になる前の若きブラッド・ピットが出ている。
ウェイトレスとして働くルイーズと、専業主婦のテルマ。2人はただなんとなく週末のドライブへと出かけただけなのだが…
ほんとによくあるロードムービーで、序盤はどんくせーなー、テルマはよぉ…と、イライラする事になり、さらに2人の旅はテルマが発端となるトラブルの連続。しかし、その都度覚醒し、大胆になって行く姿はなかなか気持ちがいいです。
終わり方も、ほんとアメリカン・ニューシネマの終わり方。ただ、崖っぷちに追い込まれ絶望的ながらも前を向き、アクセル全開。この2人にはこの終わり方しかしないでしょう。痺れます。
カメラワークも良いです。パトカーから逃げ切ったと思った途端、溪谷から迫るヘリとか、ゾッとしました。景色も美しい。
女性の社会進出を感じさせる作品だが、根底にはまだ男性的な思想を感じる。
名作映画としてよく名前のあがる作品。
女性版「イージーライダー」(1969年)といった趣で、さすがに完成度が高い。
ウェイトレスの中年女性ルイーズは、友だちの専業主婦テルマを誘って週末のドライブ旅行を予定していた。テルマはそのことを夫に伝えようとするのだが、気弱なため、はっきりと口にできない。そうこうするうちにルイーズが迎えに来てしまい、夫にはなにも伝えずに出発してしまう。
ルイーズのすすめで、旅の間くらいは羽目を外そうということになり、テルマはバーで酔っ払い、男と踊る。その気になった男に襲われそうになるが、ルイーズが止めに入る。しかし、もめごとのあげく、ルイーズは男を射殺してしまう。予期せぬトラブルに巻き込まれ、ふたりは警察に追われる身となる。
本作が公開された1991年という年は、「ターミネーター2」「羊たちの沈黙」も公開されている。戦う女という題材を通じて、女性が男性と対等の存在として主張されるようになってきた時代だったのかもしれない。
本作を監督したリドリー・スコットと、「ターミネーター2」のジェームズ・キャメロンは、ふたりとも「エイリアン」シリーズを手掛けており、戦う女リプリーを描いているのがおもしろいところだ。
「羊たちの沈黙」では女性捜査官のクラリスが男性社会の中で奮闘する姿が描かれていた。本作や「ターミネーター2」では主人公は女性だが、成長の証として銃を撃ったり男性に対して暴力的な形で勝利を収める、といった描写になっている。これは女性が社会において男性と対等な立場を手に入れる、というよりは、女性が男性化していくことで社会進出していく印象を受ける。性別は女性なのだが、ベースにあるのは男性的なマッチョ思想なのだ。
現在は女性が女性として描かれる作品も増えてきているが、90年代初頭はまだまだ女性の社会進出というものが本当の意味では浸透していなかったのかもしれない。
製作費23億円で、興行収入64億円。よく名前を聞くわりには当時はそこまでのヒットではなかったのだろうか。ちなみにこの年、全世界興行収入ランキングの1位は「ターミネーター2」(730億円)だった。
それにしてもリドリー・スコットという監督はクオリティの波はかなりあるが、「エイリアン」「ブレイドランナー」などは言うまでもなく、本作のような長く愛される作品を数多く生み出しており、その想像力には敬服する。
自由を求める心と冒険の、奇跡のドラマ
リドリー・スコット監督。
【ストーリー】
アメリカ南部アーカンソーの片田舎。
夫から暴力をうけていたテルマ(ジーナ・デイビス)と、レストランで働くルイーズ(スーザン・サランドン)は山小屋でのバカンスのために、ルイーズの66年型フォードコンバーチブルでドライブしていた。
途中ロードハウスで酒を飲んで、テルマが男に誘われダンスすると、男は車でテルマをレイプしようとする。
ルイーズが護身用の銃で男を殺害してしまい、二人はそのまま逃げる。
「正当防衛として、警察に出頭しよう」ともちかけるテルマを、
「レイプの証拠がない。ぜったいに自分は殺人犯になる」と聞きいれないルイーズ。
なら南にひたすら走って、国境をこえてメキシコに行こう、今までの生活など捨ててしまおうと二人は合意する。
開放的になったテルマは、思いもよらない度胸を発揮しはじめる。
途中でJD(ブラッド・ピット)という犯罪者と出会い、いい仲になるもそいつは二人の金を取って逃げてしまう。
テルマはJDが語った通りの手順でコンビニ強盗を成功させ、その金でさらに南へと逃亡する。
いわゆるクライムサスペンス+ロード物。
ただし主人公二人が働く中年女性で、犯罪を重ねるごとにどんどん人として解放されてゆくという、とても痛快な構成になってます。
どちらもかかえた鬱屈や心の傷に苦しみながらも、男たちから自由になってゆく。
物語がすすむごとにこちらまで晴れ晴れしてくる。
ラスト、男たちの手には絶対に落ちないと決めた二人の決断。
砂漠をまっぷたつにぶったぎる街道をひた走りながら、アップテンポな曲と共にラストまで風のように一気にかけぬけます。
リドリー・スコットの撮る雄大な景色と、自由になるたび美しさを増してゆく二人と、疾走する空みたいに青いフォードコンバーチブル。
とても鮮烈な、遅れてきた青春をふたたび味わえる、自由への希求と解放のドラマです。
思っていたのと全然違う!最後まであいた口がふさがらなかった。
最近、名作を観るようにしている。
アタリもあれば、ハズレもあり、今作は、予想を見事に裏切ってくれた点で、アタリだった。
テルマにも、ルイーズにも、はずみで人を殺すな、バカな男についていくな、物事をしっかり考えろ、と説教したいことは山ほどある。
でも、アメリカはこうなんだよなーと思わず笑ってしまう明るさがある。
特にタンクローリーをぶっ飛ばすシーンは、腹を抱えた。
ラストまで、終始明るく、清々しい。
けれど、彼女たちは、この旅で何がしたかったのだろう?
救いは、母親ではなかったこと。
人生を何度かやり直すことができるなら、1回くらいこういうのもいいかなと思った。
ハーヴェイ・カイテル渋い
束の間の休日を愉しむつもりが、逃走劇となってしまうロードムービー。
それぞれパートナーとのやり取りが対比されているのが、興味深い。
刹那主義と言ってしまえば簡単だが、そうならざるを得ない現実を観客に突き付ける。
音楽は巨匠ハンス・ジマーでハズレ無し
開放&戦う女性の強さ&素晴らしさ=超カッコいい!
こんなに女性がカッコいいと感じる映画は希少だと思います。
テルマ&ルイーズの車に乗っているシーンは、ミュージシャンのMVなどでも模倣されているようですが、
それにも納得できるくらい、気持ちいいしかっこいい。
ビジュアルもかっこいいし、音楽もマッチしているんです。
時代背景として、まだまだアメリカで男尊女卑的な時代ですし、女性がいかに虐げられていたかが分かる演出の中、
ふたりが旅行をすると決め、車に乗ってからの開放感がまずは気持ちいいですし、
ある事件をきっかけに、どんどん開放されていくふたり、
特にジーナ・デイビス演じるテルマの変貌ぶりは目を疑うほどにハジけていて気持ちいいですね。
しこつくて下品なトレーラー運転手へのRevengeが実にかっこいい。胸がすく思いです。
トレーラーを爆破させるあたり、この振り切り方も気持ちいいんですよね。
ブラッド・ピット演じる小悪党も実に物語上、効いていますね。若かったです。ブラピ。でも何してもかっこいい。
そして衝撃のラストシーン。こんなぶっ飛んだ&気持ちのいいエンディングの映画も珍しいですし、
今ではなかなかお目にかかれない。
主人公ふたりの虚飾がどんどん剥がれ落ちていき、素の姿になっていく様も素晴らしいです&美しいです。
なんて素晴らしい作品なのだろう、ありがとうリドリー・スコット監督。
是非、たくさんの方に観ていただきたい&劇場で体感いただきたい素晴らしい作品です。
特に、女性にはオススメしたいです。
かわききった悲しみ
どんどん解放されて自由になる二人のバカンス
なんてかっこいい映画!スーザン・サランドンほどウェイトレスとかハンバーガー屋の店員がさまになる俳優はいない!この映画の彼女は本当にスマートでハンサム!ルイーズ(サランドン)の家の中はとてもきれい、スーツケースのパッキングも上手、キッチンでコップをきれいに拭いて逆さに置く。キッチンの水気もしっかり拭き取っただろうし埃もない。ブルーのサンダーバードもサングラスも頭のスカーフも全て素敵。一方テルマの家のキッチンはゴチャゴチャ、物が多過ぎてテルマの頭の中もゴチャゴチャなのか荷物のパッキングも下手でやたら物を持って行く。なんでこの二人が親友なんだろうと思った。
二人の面白いところは、基本的に相手を責めないことだ。明らかに相手に非があっても罵ったりしない。とにかくまず相手を助ける。自称・大学生のブラピに偶然再会したとき、犬が嬉しくて口開けてハーハーする真似して彼を車に乗せたい旨をルイーズに伝えたテルマはとても可愛かった。自分で男を選んだ最初の経験だったに違いない。そしてテルマが生まれて初めて男性(ブラピだものね!)と素敵な経験をしたこともルイーズに伝える。ルイーズも一緒になって喜ぶ。この経験がテルマの頭脳がすばやく回転するきっかけになったと私は確信する!お金のことで大反省のテルマはブラピから習った通りのやり方で強盗して、次は警察官脅してルイーズを助けた。暗記力・行動力・決断力マックスの大転換ポイントだった。テルマはおつむが弱いのでなく、傲慢な夫や男社会の中で諦めと思考停止状態にさせらていただけだったんだ。
トラック野郎をコテンバンにしたのも痛快だった。今はそんな事ないと信じたいが、免許とりたての10代の頃、女友だちとドライブしてたら男のドライバーから嫌がらせされたことを思い出した。チンタラ走ってたトラック野郎、言葉も仕草も表情も全部アウトでした。大爆発程度で済んでよかったと思って欲しい。
ハーヴェイ・カイテル、この映画ではいい刑事さんでした。全部綿密に調べてテルマとルイーズの側にたっていた唯一の男性だった。彼とは昔からの友人みたいに話せて多分信頼もしていたルイーズだが、ここまで自由に親友と笑いながら解放感を味わった以上後戻りはしないと決心した。テルマとルイーズは颯爽と飛翔した。笑って泣けた。
自由を夢みて
知り合いにすすめられて、映画館で鑑賞してきた!
亭主関白な夫をおいて、楽しく気ままな2人旅!がアクシデント続きで思わぬ方向に…!?というポップな映画かと思いきや、全然そんなことなかった!!
安心して見ていられる時間が少なく、シリアスでスリリングなシーンが結構続く映画だったなという感想がまず浮かんだ!
2人が車とかホテルで言い争ってるシーンとか観て、自分の女友達との旅行を思い出して「あ〜ちょっと観てらんない!」とか思ったりもした。笑
あのレイプシーンなんかも結構女性あるあるじゃないのかなぁなんて思うのよね。ちょっと羽伸ばそうと思ったつもりが、もしくは男性慣れしてなくて浮き足立っていて火遊びしてみて、男性にレイプされそうになる…。
自分から飛び込みにいったほうが悪い…そんな言葉が聞こえてきそうだけど、それでもやっぱり『女性だから』と枕詞がつく事柄が多すぎて、全てを自己責任にしては絶対にいけないと、改めて思いましたわ。
ちょこちょこ軽口叩いてきたトラックもあるあるだと思う。本当に悪気があるのかと言われると、そうでもないとは思うのあの運ちゃんも。「あー、はいはい、で受け流せばいいって話」っていう人もいるかもしれないけど、でもそれって私たちが特に何もしてないのにバカにされたり、ナチュラルに下にみられたりするのを黙ってみてろってこと??って思う。
トラックに銃ぶっぱなしてバーーン!!!のシーンは超笑ったし痛快だった!
映画の筋として、女性が自由になってエンパワメントしていくというのはもちろんあるんだろうけど、一方で2人でどんどんと孤立して追い詰められていくのをみるのがしんどくて、長い長い現実逃避はちゃんと終わってしまうんだよというのをまざまざと見せつけられた気分になってしまいました😂
どういうオチがつくのかな〜とハラハラしながら観ていると…。儚く美しくでもなにか彼女達の使命を感じる、忘れられないラストでした。あのラストしかなかった、そう感じてしまうくらい好きなラストシーンでした。
清々しくて切ないラスト
テルマとルイーズ、親友を超えた関係
何かトラブルが起こるのは全部テルマが引き起こすのに、それを責めず助けるルイーズ
最初は頼りない表情が多かったテルマがどんどん明るくなるのと同時並行でルイーズと対等になっていくように思いました
解放感溢れるテルマの表情からは、あの窮屈な家の中にいるより犯罪者になってあのラストでもテルマにとっては幸せだったのかもと思ったけど、ルイーズはあのラストを選ばずにジミーと幸せになれてたかもと思ったり
でもどこまでもテルマと一緒を選ぶルイーズが好きにならずにいられませんでした
だからあのラストが爽快感さえある切なさなんだと思います
ハル刑事だけ良い人で、あとは出てくる男性がみんなクズ男
ブラッド・ピットはとってもイケメンさんだけど、とってもクズ男でした笑
どこまでも続くような地平線、ラストにピッタリなロケーションでした
大好きなリドリー・スコット監督作品、ホント観て良かったです
ラストは西部警察
有楽町の映画館へ「今日はこれを観よう」と軽い気持ちで行ったら、まさかの「満員」。
最終日の最終回に出直して、観れて良かったです。面白かった!
コメディタッチで嫌なヤツ(テルマの夫)がプリプリ怒りながら車に乗ろうとしてすってん転び!チャップリン映画みたいな転び方で笑ってしまった。
それに比べて、同じ家の前に迎えに来たルイーズのカッコいいこと!綺麗な色のThunderbirdに「おお!」と心の叫び。真っ赤な口紅と頭のスカーフが素敵でした。
テルマとルイーズは、困ったことがあってもグイグイ前へ進んでいくのね。ロードムービー特有の気怠さはない(追われる状況だからまったりとはしてられないけどね)。
そして気がつくと顔つきや服装が変わっていき、デッドホースポイントの景色を駆け抜けて行きましたね。
ラストあたりは、西部警察でした。
今を生きるわたしたちに
あまたあるリドリースコット作品の中でも
屈指の名作、傑作であろう。
もう30数年前の映画であるのに、この現代性、普遍性はなんなんだろう…
ジェンダー映画、女性への抑圧、そこからの悲劇的な解放、解放と素直によべるかどうかは個人によるだろうが…
ロードムービー、というジャンルコードの範疇におさまる映画ではない。
監督監修の4kレストア版上映。
映画館での大画面で初見。
ブルーレイで何度も観ているが、魂に突き刺さる映画とはこういう作品をいうのだろう。
女性版アメリカンニューシネマ、などと巷間よくいわれてきたが、カーリークーリのシナリオはそこを遥かに越境する。
制作は91年。
多様性ダイバーシティ、LGBTQ…ジェンダー、#metoo
などの言葉が新しくない今。
時代が作品に追いついた感はある。
物語は、2人の対照的なパーソナリティの女性のまさにロードムービーなのだが、そこにカーリーのシナリオは抑圧、を挟みこむ。
男性からの女性への抑圧そのものを。
レイプされそうになるテルマを、ルイーズが加害する男を射殺するところから物語が動き出していく。
警察に追われる2人、過去に凄惨な暴力を受けたことを示唆するルイーズ、
道行きの中、テルマとルイーズの関係性も変化していく。
受動的なテルマ、能動的なルイーズが終盤にかけて変わっていく。
画面はアメリカの原風景ともいえる、岩、砂漠、ラストにグランドキャニオン…
随所に見られるリドリーらしいヴィジュアル
キャスト、スーザンサランドン、ジーナデイヴィス
ハーヴェイカイテル、マイケルマドセン…
そして若き日のブラッドピット
彼はこの作品から一気にスターダムにのし上がっていく。
刑事ハルを演じるHカイテル。警察の中で唯一彼女たちの心情を理解しようとする。演じるカイテル、渋い役どころ。
ラスト、さいこうのバカンス、ほんとうの自分になれた、と2人はくちづけを交わし刑事ハルが追う中、飛翔する。
伝説的なシーンで終わる。
悲壮感ばかりが強調される映画とは思わない。
特にラストなどは爽快感さえ感じる、といえばいいすぎだろうか。
抑圧された現世からの飛翔
画面はホワイトアウトしてエンドクレジットへ
沁みる映画だ。
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