「ゆっくり話が進む」チャンス まるさんの映画レビュー(感想・評価)
ゆっくり話が進む
知的に障害がある住み込み庭師で幼少時から家の外に一歩も出たことのない中年男が、雇い主の死とともに家を追われる話。
身なりは仕立ての良いスーツを纏い、言葉遣いや物腰も上品なので雇い主からの扱いが良かったことが伺える。
結果的にそのことが、出会った上流階級夫妻の勘違いを招く。
フォレスト・ガンプってこれを元に考えたのでは、と思ってしまう。
隔離生活していた異常さはトゥルーマン・ショーのトゥルーマンにも少し通じる。
コメディ扱いされるが正直コメディには思えない。
おかしな行動をしても男本人は至って真面目で笑わせる気はなく、悲しみもほとんど感じていない分、傍目からは哀れにみえる。悲哀の映画だと思う。笑い要素の強いクルーゾー警部とは違うピーター・セラーズが素晴らしい。
公開翌年に亡くなるセラーズの体調があまり良さそうに見えない。あまり動きがないのも撮影時にそういう影響があったからだろうか。
あまりに動きが少ないため、作品の冗長さは否めない。
本作でアカデミー賞にノミネートされたセラーズ。もっと長生きしていろんな作品を観てみたかった。
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