「「この国では白人でさえあれば何だって手に入る」との黒人女性の皮肉発言は見事だったが…」チャンス KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「この国では白人でさえあれば何だって手に入る」との黒人女性の皮肉発言は見事だったが…
全く知らない作品だったが、
調べてみると、なんと
・シュレンドルフの「ブリキの太鼓」
・ベルイマンの「秋のソナタ」
・レッドフォードの「普通の人々」
・スコセッシの「レイジング・ブル」
・リンチの「エレファント・マン」
などの名作がベストテン入りした年に
第7位に選出された作品と知って、
慌てて録画鑑賞した。
しかし、コメディと言ってしまえばそれまで
だが、私にはその制作意図の良く分からない
作品だった。
実はチャンスの知能の低さがそうさせている
だけなのだが、
彼の落ち着きぶりや心穏やかさから
周囲の人々の誤解や勘違いを招く
というお話。
チャンスの身元が分からないのが
FBIやCIAが彼の経歴を消す位の大物だった
からとの誤解等々、
そのレベルが拡大していく。
そんな誤解・勘違いの数々のエピソードを
上手く考えたものだなあと感心する一方、
少し御都合主義的にも感じてしまい、
展開に充分には乗り切れなかった。
そして、この誤解話をどのように
決着を付けるのかが想像出来ずに
観ていたが、
キリストの水上歩きの奇跡のように彼を
描いたラストシーン。
しかし、私には、とても
チャンスとキリストを同一視は出来ず、
この作品への理解を阻む一つの要因とも
なった。
この作品で、社会を風刺した意味ある箇所が
あったとしたら、
チャンスの元同僚の黒人の女性の
「この国では白人でさえあれば
何だって手に入る」
との皮肉の発言の部分だったろうか。
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