劇場公開日 2007年6月16日

「クドカンワールド」舞妓Haaaan!!! うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 クドカンワールド

2025年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

クドカン脚本の特色は、手塚治虫のような飛躍とテンポの良さ(ただし乾いたペシミズムは無い)、そして小気味のいい笑いの切れ味だろう。マンガと違って、演劇、映画なので、より多くの人の手が掛かれば掛かるほど、失敗する確率が指数関数的に高まっていく。

まず、本人が思いついたことを「ホン」にする。この時点で、100%面白いとすると、それを形にするのに、DやらCやら、MやらAやらそれぞれに理解度も、のめり込み具合も違うので複雑な科学反応が起きて、予定よりも面白くなることもあれば、逆のこともある。(この、DとかAとかにはディレクター、アクターなど当てはまります、一応)

たぶん、本人のコントロール下にあるのは、筋書きの背骨と、キャラクターの構成、基本的なセリフ程度じゃなかろうか。語尾の上げ下げ、方言指導、パソコンのタイピング。そんなことまでいちいち計算して「ホン」にしないだろう。それなのにどうして、彼の映画は一様にクドカンワールドという形容でくくられてしまうのか。

確かに、彼の関わったドラマには共通の空気が漂っている気がする。特に、コメディ作品において顕著だ。そして、ラジオでしゃべっている彼本人も、やっぱりあの空気感の人なのだ。どうやら、彼の脚本に惚れこんで仕事を一緒にやりたがる人たちは、彼のキャラクターに魅了されていくようだ。行間を読むときに、そこに彼の人となりを当てはめて膨らましていく。

特に付き合いの長い阿部サダヲなどは、計算できる戦力としてキャスティングされているのだろう。思ったことの90%は形にできる。ぜひ主演に起用したいところ、観客動員に敏感な製作者側にとって、数字を持っていない俳優の起用は冒険以外の何物でもない。なので、堤真一と柴咲コウは最低限の保険として必要だ。

「映画は細部に神が宿る」あとは、学生服を着た堤真一にどれだけ説得力を持たせられるかが、スタッフの腕の見せ所。予算が潤沢にあれば、映画のマジックを披露できるのに、やっぱり無理くり感があちこちに漂う。

以上、クドカンワールドについて、自分の考えをまとめてみた。映画については、家のテレビで流し見するのにちょうどいい内容。それ以下でも、以上でもない。と思った。

うそつきかもめ
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