「アメリカの医療体制の問題を切実に、でもユーモラスに。」シッコ ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの医療体制の問題を切実に、でもユーモラスに。
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アメリカの医療制度の現状と問題点を、他国と比較しながら追ったドキュメンタリー。
…なんだけど、一言で言うなら監督による痛烈なアメリカの医療体制批判であり、現行制度に対するアメリカ国民への問題提起の映画だった。
日本のドキュメンタリー映画って、なるべくフラットに観客に事実を伝えた上で答えを委ねるスタンスのものが多い感触があるんだけど(ここ数年観たドキュメンタリー映画からの個人的所感)、本作はマイケル・ムーア監督の意図(意思?)というか、メッセージがめちゃくちゃ明確にこもってて面白かったなあ。
アメリカの医療、その後の人生を左右する一刻を争う治療が、金銭面の問題で受けられないという事例がざらにあったり、医療費が払えない入院患者を病院がタクシーでダウンタウンに置き去りにするって、かなり恐ろしい…。
医療や福祉といった人の生命や生活にダイレクトに左右するセーフティネットは、市場主義の民間企業が介入して競わせるとこうなるんだなと、アメリカの医療の仕組みは反面教師として心に刻まれると思う。
しかし、国民皆保険制度は私も素晴らしいと思うけど、その制度を取ってる国が映画ではかなり美化されてた感があり、こんなに上げる?ってくらい持ち上げられてた気もする。笑
あとこの映画で描かれるアメリカ人の共産主義への過剰な恐れというか拒否反応がまあユーモアで描いてるんたけど面白いレベル。誇張して描かれた部分もあるんだろうけどクスリと笑ってしまった。
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