「パワーを持ったムーアの新たな戦い方」シッコ The Dudeさんの映画レビュー(感想・評価)
パワーを持ったムーアの新たな戦い方
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マイケル・ムーアは、大物や大企業でも決して敵対して関わりたくない大物になった。故に前作『華氏911』における彼自身のパフォーマンスは、ゴリアテとダビデが逆転したのか一方的で精彩に欠ける内容だった。今回の所謂「アポ無し取材」は行わずに、彼自身の名声をフルに活かして英雄救済という行動に移るのは彼の新たな戦術だろうか。
グアンタナモ→キューバという流れも彼の中では計算済みだろう。彼の名声の前には海軍もどこか遠慮がち。キューバの見せる超親切待遇も彼の名声故だろう……でも、それでもいいじゃないか。計算でも何でも苦しみ報われなかった人々が救いを見いだす姿はやはり感動を呼ぶ。多くの人間を絶望の淵から掬い上げるなんて誰にでも出来ることではない。自身のパワーをそこに使うムーアを褒めたい。(アンチサイトの主救済には笑った。パワー(金)があるってのは凄いことだ)
肝心の内容だが、やはり面白い。この分かり易い論法とユーモア、巧みな編集術を見ていると『不都合な真実』の退屈さの理由が良く分かる。惜しむらくはフランス賛辞のシーンが長くてダレを感じる。カットするか日本に来て保険制度を斬ってくれ!(アメリカよりは100倍マシだろうけど。)それにしてもアメリカに住みたくなくなる映画だ。
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