「ベテランピッチャー。」インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 マロピさんの映画レビュー(感想・評価)
ベテランピッチャー。
公開されて一ヶ月が過ぎてようやく鑑賞。
うん、観た直後の感想は、今作は「ベテランピッチャー」。
スピルバーグ監督を始め、ハリソン・フォードの演技に迷いは無く、非常に好感が持てる。変にアレンジするより「変わらないこと」を前面に出し、魅せるあたりは観客がどうすれば喜ぶかを知っている監督ならでは。
頭を空っぽにして、インディ・ワールドに浸れば、そこに冒険はあるという基本路線は変わらず、昔からのファンは十分に楽しめる。
さて、「ベテランピッチャー」とは。
まずは、監督。
今作においては、スピルバーグ監督の集大成のような題材や演出。
そして演出は冴え渡っている。冒頭の倉庫内のアクションシーンでの場面の方向転換は見事。一つの方向だけではなく、横から縦から、魅せる、魅せる。
森のシーンはSWのスピーダーバイクまでいかないまでも、この監督の演出力には恐れ入る(過去作品の賛否両論は置いといて)。
この映画を観た後に、あえて今、低予算でアクション映画をスピルバーグに撮らせたら、どんな映画を撮るだろう?と思わずにはいられなかった。
トータルな作品としては、監督の演出もそうだが、それぞれの見せ場は本当に良く出来ている。
しかし、その良さは、なんだか「ぶつ切り」。
「ベテランピッチャー」は持ち球が良かったり、球種は多いけど、スタミナが残念ながら無く、試合を作るにまで至らない。
この、インディ・ジョーンズもそうで、それぞれの見せ場での切れ味は良いのだが、繋げて試合を作れない(=物語として紡げない)。
これが、マイナスポイント。
こう言ってしまうと、過去のインディ・シリーズにも害が及んでしまうのは百も承知なのだが、19年ぶりの復活ということで期待しすぎたところもあるのかな、と思う次第。