ダーク・スターのレビュー・感想・評価
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ジョン・カーペンターのシュールな宇宙の旅
ジョン・カーペンター監督の商業長編デビュー作。1974年の作品。
大学時代からの友人で後に『エイリアン』の脚本を手掛けるダン・オバノンと共に、学生時代に作った短編をセルフリメイク。
カーペンターは後にSF/ホラーの鬼才となり、オバノンも多くのSF作品の脚本に携わる(代表作は監督兼の『バタリアン』)。
そんな2人の原点!
まあ確かに、超低予算から捻り出したアイデア、見せ方、独特の作風にはなっている。
が、面白かったかと問われると…。
カーペンターのデビュー作で“カルトSF”なんて聞いて期待したもんだから、ちょっと自分には合わなかった…。
セット、特撮、(ゴムボールに足を付けたような)エイリアンの造形…チープなのは超低予算だから致し方ない。それでも独特のSFの雰囲気は創り出している。
話そのものが…。
大きな見せ場も無く、メリハリも無く、退屈。いや、シュール。
狭い宇宙船内で乗組員たちのシュールなドラマが展開するだけ。
一応彼らには任務があり、危機も発生するが、何と言うか、う~ん…カーペンターの後の作品のようなエンタメ性が無い。
『SW』前。その当時のSF作品の革命作と言ったら、『2001年宇宙の旅』。
コンピュータの反乱、乗組員や宇宙船内でのドラマなど彷彿させる点あるものの、足元に遠く及ばず。
まあ、あちらはSF映画史上に残る名作。
こちらカーペンターはB級SFの鬼才。
パロディを模しつつ、自分の独特のセンスで作ったのだろう。
レトロなOP、シュールさ、選曲、ラストシーンの“宇宙サーフィン”などがまさにそんなノリ。
そういった意味では、鬼才の才気は垣間見れた。
フライヤーのキャッチコピーで大損をしている映画
この映画、フライヤーのキャッチコピーで大損をしていると思うの。
だって
「伝説の爆笑カルトSF映画、ついに発つ!」ですもん。
決して爆笑するシーンなんてないの。ダダすべりの件ならあるっちゃぁあるんですが(笑)
むしろ『エイリアン』に近いスリラー系の怖さ満点なの。
話は飛びますが私、実は『スターウォーズ』だったり、『スタートレック』だったりが食わず嫌いだったりするのですね。
宇宙って、決してあんなに賑やかな場所なんかじゃないって思っているから。
その点、この作品は、私の思う宇宙を存分に描いてくれていたです。
ただ暗くて広くて寒くて怖い。そんな場所。それこそが宇宙、みたいな。
「爆笑」云々の点は、きっとあの“風船”が戦犯だと思うの。
アレのドタバタを除けばこの映画、完全にスリラーだよ。
爆弾や宇宙船のAIの無機質だけれど、ウィットに富んだやり取りも「爆笑」って見なされちゃっているのかな?
あれ、めっちゃ怖いじゃん!どこが爆笑だよ!誰がそんなこと書いちゃったんだよ!
ラストのカントリーミュージックに乗ったサーフィンも「爆笑」の謳い文句を誘発してるっぽいけれど、あれは絶望の最期を飾るに相応しい、唯一の希望だったと思うの。
そうでも考えなきゃ、やりきれなさすぎるラストだったと思うの。
ほんっと怖い映画なのに。
ほんっとに大損してる。
ちなみに監督は、私ベスト映画の『ニューヨーク1997』のジョン・カーペンター。
お金を持たせるとロクでもない作品しか撮らないくせに、予算に手かせ足かせを付ければ、最高の映画を撮っちゃう不思議な監督さんなのね。
ダオバノンのギーク感と時代性
ガラクタちゃんよ ねんねの時間だ
ジョン・カーペンター監督デビュー作。
ダーク・スター号という宇宙船に乗った4人のドタバタ劇。
観終わって最初に思ったこと、それはズバリ。
「なんだこれ?」
低予算で作られたコメディ調の作品なのですが、「そうはならんやろ」が多すぎて、ずっとツッコミながら観ていました。
当時の宇宙の考え方ってこんな感じだったんだろうなという感じの。
コメディ調で作られている割には正直あまり笑えず、前半は意外にも退屈でした。
後半になり、宇宙船という極限状態の中で人間関係が悪化していく。
そこからは少し面白かった。
だけど…
ボイラーとピンバックにはムカつくし、氷漬け船長や爆弾くんの優柔不断さにはイライラするし。
そしてあのラスト。
もう、ツッコむのやめました。
途中面白くなりそうな展開もあったので、もう少し手を加えれば、B級傑作になり得たのになと。
この手の作品ならば、自分は『HARDWARE WARS』を推します。
あれぐらい思いっきりふざけてくれないと。
わけわからない映画は大好きなんですが、ここまでわけわからないとちょっと引いてしまった。
そもそもラストの展開になってしまったのは、不安定惑星を何故か爆破しなきゃいけないということと爆弾が自我を持っていたことのせい。
そこの設定は上手く受け止めきれなかった。
そしてもっと重要なこと。全編を通しての違和感の正体、それは。
宇宙なのに無重力じゃないこと!
以上。
と見せかけて、
↓いつものツッコミタイム↓
・宇宙船ダーク・スター号
進んで入るっぽいけど、宇宙空間で停止してホバリングは謎。
・自我を持った爆弾くん
意外とすんなり命令を受け入れる従順さもある。「誤作動です」3アウトは伏線だった。途中で出てきた銃も一応伏線。
・船員の部屋
ナイフゲーム(指の間ナイフでトントンするやつ)失敗してたり、元祖ハリウッドザコシショウいたり、壁のヌード写真モザイクかかってたり。
・ビーチバレーボールエイリアン
可愛い!
凶暴そうかと思いきや、くすぐったり噛みついたりちょっかい出してくるレベルの可愛いもん。
ネズミで釣るって…笑笑
・エレベーター
エレベーター起動までに時間かかりすぎ。
明らかにご都合主義笑笑
そもそも人が乗るわけでもないのに、なんで作動してんだこれ?
しかも、掃除するために底の板外すだけなのに爆破しないといけないという理不尽さ。
・日記
公的記録なので不適切な部分はDELETEです。
現代のテレビの規制音みたいで1番面白い。
・天の声
船員や船内の様子をしっかり把握している割には、仲間同士のいざこざは見て見ぬふりという無能さ。
・不死身の船員
今作品最大の謎。
『ウィークエンド・シャッフル』同様、血が出ない。
これは予算上の問題かなと合点がいくが、何故死なない?
レーザーであんなめっためったにされたら死ぬでしょ。
しかも、超高速で宇宙船から飛ばされる。
船長も氷漬けだったから(生きてるのかはわからないけど)、爆発した彼らも、流星群に吸い込まれた彼も、サーフボードの彼もまだ生きてるんじゃないかな。
長々とすみませんでした。
ポンコツ船員たちの、ゆるふわ日常系SF
コスト・パフォーマンス追及映画
監督・脚本・製作・音楽ジョン・カーペンターという自主製作映画のようなSF風シュールなコメディ、それもその筈、学生時代に作った短編のリメイクだそうだ。ほぼダーク・スターと名付けられた宇宙船の船内のスナップなので映画にせずとも小劇場の舞台劇で良いくらい。いや、毎回上演の手間を考えると映画で作った方が安上がりかも・・。
ダーク・スターの使命は数十光年彼方、惑星探査と太陽系に飛来しそうな星を見つけては勝手に爆破して回ること、アルマゲドンでは遅すぎるということか・・。「2001年宇宙の旅」風の哲学的な語り口の割には中途半端な思考能力を持ったロボット爆弾が自爆しダーク・スターは宇宙の藻屑になってしまうという寸劇。登場するものは人物に限らず、コンピュータからエイリアンまで一貫して頭の足りない陳腐な存在。星を破壊するほどの爆弾が至近距離で爆発しても船外にいた乗組員は何故か無事、作りようによっては「エイリアン」や「ゼロ・グラビティ」にもなりえた着想もあったのに残念だ。手抜きのうまさ、低予算製作の腕は認めるが、ピンナップだらけの古い潜水艦の船内のようなセットにむさ苦しい男たち、無駄なセリフには閉口した、我慢に我慢、長い83分でした。
愛すべきカーペンターSF
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