劇場公開日 1979年8月11日

「ギリシャはどこにある」旅芸人の記録 チャーリーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ギリシャはどこにある

2015年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

ずっと観たい、観たいと思っていて、ようやく観ることができました。4時間近くの大作だから、なかなか手が出なかったんですけど、自分の中に時折訪れる、どこか本物の悲しみに触れたいという欲求から、ついに観ることにしました。
第二次世界大戦をはさんでの小国ギリシャの悲哀を描いた作品で、ナチスドイツ、ソ連、アメリカ、イタリア、イギリスなど大国に翻弄されるギリシャの人々の運命を、旅芸人の一座の視点で描いています。バルカン(っていったらギリシャの人は怒るのかもしれないですけど)半島の持つ運命っていうことで言えば、最近観たエミール・クストリッツァの『アンダーグラウンド』を想起させられましたが、そちらがユーゴという禍々しさに溢れているのだとしたら、こちらギリシャは重々しさに溢れている、そんな気がしました。
アンゲロプロスの画力が圧倒的で、観ていて疲れるほどに美しいです。彼の映画でたびたび出てくる、黒い傘、舗装されていない道路の泥濘、そこを心もとない靴で歩く人、ギリシャという国をじっと見つめ続けることで悲哀をまとって歪に曲がってしまったかのような樹木、これらが印象的でした。
決して楽しい映画ではありません。でも、やっぱり本物の悲しさに触れられる映画でした。

チャーリー