「家族のような一体感」グリーンマイル 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
家族のような一体感
ヒューマンドラマの傑作と言えばこのグリーンマイル。
死刑囚として収監されたジョン・コーフィは、かなり大柄の黒人で、割と無口なので何を考えているか分かりづらい。しかし、ストーリーが進むにつれて彼の善良な人柄が明らかになるのと、癒やしの力を持つ特殊能力によって、刑務官達も彼に対して警戒を解き、徐々に信頼を寄せるようになる。やがて彼を含んだ囚人達と刑務官達は、家族のような一体感が出てくるというストーリーの構成が、ヒューマンドラマの傑作たる所以だと思う。その一体感の醸成に一役買っているのが、ミスター・ジングルスと名付けられた刑務所に住み着いているネズミだ。ジングルスを通じて囚人達と刑務官達に交流が生まれ、刑務所全体のアットホーム感が増している。
原作者と監督が同じ『ショーシャンクの空に』と同様、刑務官側にも囚人側にも人間のクズが出てきて、最後は痛い目を見る。このクズ達が映画のアクセントとして効いていて、温かいだけでなく痛快なストーリーとなっているのが、また面白いところだ。
囚人のデルの電気椅子での処刑シーンは凄惨そのものだった。ただでさえ惨いシーンなのに中々終わらず、結構長い時間見せられる。だが、長い時間処刑シーンを映すことによって『グリーンマイル』を観た人間に強烈な印象を残しているところが、残酷ながらも秀逸な構成だと感じた。
3時間と長めの映画だが、その時間に見合った傑作だと思う。
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ゆ~きちさんのコメント
2024年9月8日
共感ありがとうございました。
どこの世界も「クズ」はいますよね。他人の気持ちを考えられないのもそれぞれの事情なのか性質なのか。
キングらしい優しさが伝わる作品でした。