ドグマ : 映画評論・批評
2000年6月29日更新
2000年7月8日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー
神をもギャグにする男、ケビン・スミスの会心作
オタクのカリスマ、ケビン・スミスがキリスト教をテーマに突っ走るハチャメチャなコメディ大作である。世間では、カトリック団体から抗議を受けまくったとか、キリスト教に対する知識がなければわからない、など問題作扱いされている様子。だけどこれ、そんな難しい映画じゃないんだってば。キリスト教にまつわるバカ騒ぎをおちょくった、ポップでごきげんな大バカ映画なんだから。スミス独特のことばのお遊び、常識をあざ笑うかのような天使&悪魔のキャラ、ヨタ話の落としテクなどなど、オタク魂の炸裂ぶりを、痛快と言わずしてなんと言おう。よく見れば、スミスが処女作「クラークス」でコンビニへの愛を謳ったのと同じように、キリスト教への愛情を感じることだってできるはず。笑えるか、笑えないかはセンスの問題なのだ。
むしろこれを楽しむために必要な知識は、ケビン・スミスという野郎とその作品について。オタクゆえ、彼を愛する者への目配せがいっぱいだからだ。彼自身が演じるサイレント・ボブ&相棒のバカ、ジェイはスミス作品全編に出演し、いまやコミック、アニメ化されるほどの人気者。オタクのサガをケッ作へと昇華する監督、スミスは最高だ!
(若林ゆり)