ターザン(1999) : 映画評論・批評
1999年11月29日更新
1999年12月18日より日劇プラザほか全国東宝洋画系にてロードショー
ド迫力の映像とフィル・コリンズの歌で魅せるディズニーの新“ターザン”
ジャングルと人間社会という2つの世界の狭間で揺れる青年ターザン。ディズニーお姫様アニメ育ちの女性ファンとしては、感情移入しにくい世界のはず。が、そこは子どもから大人まで全人類を楽しませるのが使命のディズニーアニメである。お約束のミュージカル・シーンを廃して、ますます硬派な匂いを漂わせる一方で、フィル・コリンズのパワフルな歌声でドラマティックに盛り上げてくれるのなんの。あまりの迫力に度肝を抜かれるオープニングの難破シーンからして、そのドラマティックな歌声とともに、たちまち「ターザン」の世界に引き込まれずにいられない。ナレーション的役割も兼ねているため、少々説明過剰な気もするものの、ハリウッド的単純明快な葛藤にも、歌だけでも酔わせる実力は、さすがその昔「カリブの熱い夜」さえも盛り上げた男。
しかも、こちらはアクションが充実。木から木へと空中滑走するターザンの躍動感。なかでも、ジェーンを抱いたターザンと、ヒヒの大群とのチェイスシーンの疾走感はたまりません。ああ、このスリルと興奮、体感したい! と、ディズニーランドの新アトラクションの誕生を熱望せずにいられなくなっちゃうよ。
(杉谷伸子)