カーラの結婚宣言 : 映画評論・批評
1999年12月24日更新
2000年1月15日より丸の内シャンゼリゼほかにてロードショー
ハートウォーミングな母娘の成長物語
お久しぶりのルイスと売りだし中のリビージ。私生活では親友同志の実力派の共演だけでそそるラブストーリーは、 期待どおりにハートフル。ハンディキャッパーの性の問題もユーモアを交えつつ真摯に織り込まれた世界で、知的障害を持つ恋人たちの喜怒哀楽をいきいき演じて微苦笑させずにいないのは、さすがのひと言! が、実はこれ、自立を願うカーラと、ハンディを持つ娘を案じるあまりに束縛してしまうエリザベスが織りなす母娘の葛藤の物語。映画ではこうした過ちに陥りがちな母親像はお馴染みだが、そこはこれまた実力派のキートンである。陰影豊かな演技で自分を責めがちなハンディキャッパーの母親の心理に胸を詰まらせるのはいわずもがな。しかも、この作品、カーラの独り暮らしも所詮は裕福な両親に支えられたものという自覚が、作り手にもカーラの両親にもあるのがなにより魅力。登場人物たちがその事実を踏まえているからこそ、温室の中でのカーラの自立も、ハリウッド的なおめでたい自立ストーリーとは一線を画すことに。カーラの数年後がちょっと心配になるものの、ディズニーグループ好みの前向き家族の絆に素直に元気づけられる自分に気づくのも悪くないよ。
(杉谷伸子)