シュリのレビュー・感想・評価
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どこで二人の歯車が狂ったのか。
<映画のことば>
バカな夢を見ていたわ。
別人になれると思ってた。
でも、私は恋人を撃つしかないイ・バンヒ。
中身は、変わらなかったわ。
<映画のことば>
ヒドラをご存じで?
ギリシャ神話の頭が6つある女神です。
一つの体で、異なる人格が6つ。
イ・バンヒとイ・ミョンヒョンは、別の存在です。
この時代のヒドラ。
分断という現実が、彼女をヒドラにしたのです。
情報部員の男と秘密部隊に属するスナイパーの女―。
どちらも築く人間関係には、人一倍に神経を使いそうな立場です。
いわゆる「蜜月」と言われるほど近しい関係でもいけないでしょうし、さりとて孤立していたのでは、目立ちもするでしょうし、必要な情報も入って来ない。
お互いがお互いを想っているからこそ、そしてその想いが深くて真摯なものであるからこそ、それだけ、たとえお互いがお互いの素性に気がついたとしても引き返すことはできない…否、気がついていたとしても前に進む(お互いの関係性を深める)しか途がなった―。
それだけに、二人の苦悩も深刻なものだったことでしょうし、そのことに思いが至ると、観ているこちらも、胸が潰れそうな思いもします。
本作は、シネカノン(破綻するまで優れた映画を世に送り続けた配給会社)の配給作品ということでも、前々から関心のあった一本でした。
その期待にも違(たが)わない、十二分な佳作であったと、評論子は思います。
(追記)
サッカーW杯の開催の南北融和ムードに絡めて、韓国国内で自国の幹部を暗殺(高性能爆弾による爆殺)を企てる北朝鮮軍部の精鋭部隊。
そして、その精鋭部隊の女性スナイパーと、韓国情報部員との悲恋ー。
それまでの韓国映画にはなかった派手なガン・アクションが、公開当時には話題を呼び、韓国映画界も「本作の前」と「本作の後」とで潮流が大きく変わったとも言われているようですけれども。
実際、「スピーディーな展開のアクション映画」「娯楽映画の新境地を拓く」というトレーラーの宣伝文句も、あながち誇大でもないようです。
娯楽作の良作としては楽しめる作品で、その意味では「一時代を画した一本」ではあったのだろうと思います。
(追記)
同じ民族でありながら、たまたま選び取られた政治体制によって、肉親までもが彼我の分断される―。
本当に切ない現実だと思います。
距離的にも遠からぬ隣国に住まう者の一人としても、一日も早い両国の融和・統一が望まれます。
戦争(内戦)が終わると、今度は、政治体制の違いだけではなく、彼我の経済格差が両国間に障壁として立ちはだかる―。
現実の融和・統一には、今すこし時間がかかるのかも切れないとも思います。
<映画のことば>
呑気に歌を歌っているこの瞬間にも、北の人民たちは飢えと病とで道端に倒れて死んでいる。木の皮や根でも足りずに、土まで食っている。人民の息子や娘が、国境先の売春
街に、たった100ドルで犬のように売られていくんだ。餓死した子の肉を食う母親と父親を見たことがあるか?
チーズとコーラ、ハンバーガーで育った奴には分かるまい。
サッカーで、南北が一つに?
ふざけるな。50年騙されれば充分だ。
朝鮮の新しい歴史は我々の手で開く。
韓国映画のダイナミックさを見た。
1999年に韓国で大ヒットした映画。それから25年4Kデジタルリマスターでクリアな映像となって公開された。もともとの映画は見てなかったが、大スクリーンで見れるとあって行った。
★北朝鮮が送り込んでくる精鋭の秘密部隊は韓国で多くの主要人物の暗殺を実行していく。その犯人を追って韓国側との激しい銃撃戦が何度も繁華街などで繰り返される。前半はそんな展開が次から次へと続くのでちょっとやり過ぎ感はあった。
が、後半からそこにさまざまな人物との関係が明らかになり、物語が複雑に絡み合い展開していく。時代は、ワールドカップサッカー日韓大会の頃で、南北朝鮮の融和が進んでいたころの設定にもかかわらず。
★クライマックスはとても良かったと思う。エンターテイメント性も高い。フライヤーには、「南北に横たわる悲しみと、平穏な日常に輝く愛のコンストラストが一層際立ち、ラストの圧倒的衝撃はより深く胸を震わす。」とある。ハン・ソッキュ、ソン・ガンホ、チェ・ミンシクなどそうそうたるキャスト。
僕にとっての韓国映画はここから始まった
ジョンJランボーの叫びと
韓流映画の原点
韓流映画の基礎となった作品
名作っていうことで見たんだが、まあまあか。プロットは面白いが、やは...
時代を感じるが歴史的な名作であることに変わりない
「シュリ」を初めて観たときはかなりの衝撃だった記憶がある。北朝鮮のスパイを正面から扱って、アクションとしても面白い。韓国映画でこんなの作れるのか!と。今回劇場でリマスター版が上映されるから鑑賞してみた。
観ていると違和感を覚えるところがあって意外だった。こんなもんだっけ?と。25年も前の映画だからと理解はしていても、銃撃戦のゆるさだったり、設定の甘さやストーリー展開の強引さが気になってしまう。逆に言えば韓国映画がそれだけ発展を遂げて、観ているこちらの目が肥えすぎたってことなのかもしれない。
それでも北朝鮮のスパイが韓国で隠密行動をとって混乱を招く展開やスパイと情報局員の愛を描いた物語として楽しんだ。最後はさすがに切なくなる。ここから韓国映画の本格的な躍進が始まる(記憶違いならすみません)。そういう意味で歴史的な名作であることに変わりない。
ソン・ガンホやチェ・ミンシクの若い姿もなかなか見ものだ。ソン・ガンホなんて若すぎて演技が若干オーバーだったりする(時代もあるかもしれないが)。
再上映ありがとう
祖国統一万歳
子供の時に観た予告編を超えなかった。
切ないラブストーリーアクション
深く重く、せつない、
懐い。
韓国映画強化月間、第4弾は「シュリ」!
2000年の日本公開当時、映画館で鑑賞しました。
この作品とJSAは当時かなりブームになった記憶があります!
今月、リバイバル公開されるってことで記憶がよみがえって参りました。が、田舎住まいの私の近隣の映画館では、予想通り上映無し!ってことで、配信で鑑賞しました。
いやー「懐い」。なついです。
現代の韓国映画と違って映像やストーリーが洗練されていないところが、なんか良い。映像がざらついた感じがまた良い。
初見のときどう思ったかはもう忘れてしまいましたが、ありそうでない、なさそうでありそうな設定と、どんどんと悲劇的結末に向かっていくのを静かに見守る心地が・・・なんとも言えません。
ソン・ガンホが途中で死んでしまうことを忘れていて、結構ビックリ。
ハン・ソッキュとキム・ユンジンはいいですね。アクションシーンと恋愛シーンとのギャップが。
最後は二人とも「愛より国家(使命)」を選択せざるを得なかった。キム・ユンジンの最後の精一杯の電話メッセージが心に残ります。
また、忘れた頃にひょっこり思い出して観たい、そんな映画です。
When I dreamにはやはり涙
私が住む地域は、上映が昼間と
21:45からのみでしたが、
どうしても観たくて行ってきました。25年前映画好きのだんなに
誘われ、あまり乗り気ではなかったのですが、上映後は
私は涙が止まりませんでした。
韓国映画のレベルの高さに
驚きました。アクション、俳優さんたちの演技力、音楽どれも素晴らしく、心を打たれました。今でもベスト3の映画です。ラストシーンの
When I dremとハン・ソッキュさんの表情は涙なしでは観れません
ちなみに映画館は、私一人での
貸し切り上映でした。
25年の時を経て蘇る
この時期まで公開されていなかったのが不思議 ※ コメントに対応して一部の表現を修正
今年344本目(合計1,436本目/今月(2024年9月度)30本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
シネマートさん、あと1か月で閉館なんですね…。
大阪市という最大のコリアタウンを抱える地で、韓国映画を見たいならここ、という場所がなくなるのはさみしいことです。
さて、こちらの作品です。どうも2000年ころにごく一部だけ上映はされたようですが、権利関係で長くその後上映もVODにもならず(実際、VODはどこにも存在しない)、今やっと公開されるという特殊な作品の扱いのようです。一方で韓国国内では映画ができたのは2000年ごろということであり、そのことを念頭に入れておく必要があります(後述)。
韓国映画といえば、韓国史が抱える南北統一問題等がありますが、そのことについて触れた映画でもあり、一方で現在2023~2024年にいわゆる「韓国映画といえば」というスタイルを築き上げたともいえる作品です。一部において歴史認識的として喚起がされている(この点後述)が良かったです。
実際に韓国と北朝鮮の間では非公式としては交流は行われているのでしょうし、韓国・北朝鮮の統一を望む人もいれば望まない人もいることは確かだとしても、みんなが良い方向に向かえばよいな、といったところです。
なお、作内で「50年の分断」といった字幕が出ますが、上記のように作品は2000年ころであり、朝鮮戦争の勃発が1950年である(ただし、この点後述)ことが関係します(今、2024年であれば約75年(70年)というのが正しい)。
採点に関しては、大阪市という最大のコリアタウンに在住している行政書士の資格持ちとして以下が気になったところです。
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(減点0.3/済州島に関する色々の配慮・説明不足)
サッカーシーンにおいても「50年前の分断」といった語が出てきます。
この「50年前の分断」についてふれておきます。
日本が第二次世界大戦に敗れると朝鮮半島は大混乱と化し、今の韓国(民主主義をうたう地域)と北朝鮮(共産主義をうたう地域)とが分断し、また国内(ここでは、今の韓国と北朝鮮を足したエリア)においても対立がありました。そしてそもそも論でいえば、民主主義と共産主義のどちらが上だの下だのといった概念はそもそもありません。
一方、当時、韓国を支配していたアメリカ軍(このことは「ボストン1947」参照のこと)が元のアメリカの施策として民主主義化をうたったため、共産主義的な思想を持つ人が追いやられることになります。これが、済州4.3事件であり、麗水順天事件(10.19)です(いずれも1948年)。この後、この対立が決定的となり朝鮮戦争が勃発します。
韓国では1990年以降、真の民主化が果たされたこの時期になって、およそ40年前の済州島事件や麗水順天事件が見直された経緯があります。
これらの点について説明がないので(映画内に出てくるのは「朝鮮戦争」だけ)、なぜ済州島が最後に映る部分など理解が難しく(済州4.3事件か麗水順天事件(麗順事件)を知っていればわかる)、この点については2000年ごろの映画ではまだ扱いにくかった(過渡期だった)ということはいえましょうが(2022年だったか、真向から取り上げた「スープとイデオロギー」という映画もあります)、何らか配慮があれば、といったところです。
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