「壮絶なる想いが詰まったラストシーン」シュリ shin1babyさんの映画レビュー(感想・評価)
壮絶なる想いが詰まったラストシーン
同じ民族でありながら、そのきずなを引き裂かれた南(大韓民国)と北(北朝鮮)。
そして、その悲しき現実が、ハン・ソッキュ演じる韓国の情報機関員と、小さな頃から殺人兵器として育てられたキム・ユンジン演じる北朝鮮の敏腕女性スナイパーの幻のような恋物語を通じて語られていくのです。
この当時、世界中で大ヒットしたタイタニックの動員記録を本国にて塗り替え、さらには日本でも韓国映画としては異例の大ヒットとなった映画ですが…、
韓国ではこのシュリ公開の数年前、1997年にはデフォルト(不良債権化)寸前の“通貨危機”に見舞われ、再建が非常に困難な経済状況に陥っていました。
しかし、その後、官民一体となって行われたIT事業などの成功により一気に巻き返し、2003年からは実質3~4%の経済成長を遂げています。(詳細な文献を精査しておらず一部あやふやかもしれない事をお断りしておきます。また現在もウォン高によるインフレ懸念を抱えており決して豊かな国になった訳ではないかもしれません。)
私が言いたいのは、韓国においてこの困難な経済状況打開の裏に、シュリが出現したということです。これは困難を打開していくその裏に文化復興があった。決して経済理論や政治テクニックだけではなく、民衆による文化・芸術の蜂起により国が再び、復活の狼煙をあげた!とも言えるのではないでしょうか?
“人間”が演じる、さまざまな想いが詰まったその、かんばせ(顔)…。
私は、シュリのラストシーンで、件の二人が、心の奥で未だ愛してやまない恋人に対して銃を向けあうその表情が忘れられません。
そして、たまたまチケットを頂き観戦する事ができた日韓共同開催の2002年ワールドカップ、イタリア対韓国の一戦で、スタジアムを揺るがす『アリラン』の大合唱が今でも忘れられません。