劇場公開日 2024年9月13日

「【朗報】来年上半期くらいに劇場公開っぽいですよ(版権問題解消のため)」シュリ 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【朗報】来年上半期くらいに劇場公開っぽいですよ(版権問題解消のため)

2023年10月31日
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鑑賞方法:試写会、映画館

悲しい

単純

興奮

韓国で研究所の要人などが暗殺される事件が頻発する。
容疑者は北朝鮮の女性工作員イ・バンヒ。
彼女を追って捜査を進めるジュンウォンとジャンギルは、この事件に韓国で作った液体爆薬のCTXが関係していると知り研究所を訪ねる。
しかし、それは既に奪われた後だった。
そして、ジュンウォンは悲しき真実を知ることになる。

第36回東京国際映画祭にて「韓国における日本大衆文化開放25周年特別上映」として鑑賞。
現在配信でも観ることの出来ない普及の名作を観れる上に監督のトークショー付きともあって、元々の予定を蹴って初めて東京国際映画祭で映画を鑑賞した。
まずは嬉しいニュースから。
出資元であったサムスン映像事業団の廃業によって長らく無くなっていた上映権が回復。
来年上半期頃を目処に韓国と日本での劇場公開(恐らく今回観たデジタル・リマスター版)の予定があると監督からあった。
それに伴ってサブスクなどでも観れるようになるかもしれない。

それでは本題。
今でこそ韓国の映画というとアクションやサスペンスのイメージがあるが、当時は韓流ブームの前夜。
今一般的に知られている韓国映画はほぼ2000年以降のものであり、韓国アクション、韓国ノワールはもちろん韓国の映像作品、もっと大きな言い方をすれば現在の韓国カルチャー流行の先駆けと言っても過言ではない、非常に重要な作品なのかもしれない。
予告でも使われている、サイケデリックな音楽に乗せた冒頭の犯行のシーンなんかは、90年代の日本のサスペンス映画の影響をモロに受けてそうだし、禁断の恋は後の韓流お得意の分野だろうし、この作品のヒットが大きな分岐点の一つである事は確か。

あくまでもラブロマンスの形を取りながらも、並行して緊迫感のあるシーンを、描くところはしっかりと描いている。
シンプルだが面白い。
そして、分かっているけれどとても切ない。
「魚」というキーを中心に展開するストーリーはロマンチックかつ残酷で、多くの人を惹きつけるだろう。

さらに何よりも特徴的なのが、当時に朝鮮の南北対立を扱ったという点だと思う。
日韓ワールドカップを控えた当時、2000年頃はまさに融和ムードの高まっていた時期。
そんな時期に本作は製作された。
現状では互いに分かり合うことも互いを許すこともできない憎い相手。しかし、どうしても切り離せない関係。
そんな両国民の本音がこの映画の2人に映り、大きな反響を呼んだのではないだろうか。

翌年、『JSA』に主演するソン・ガンホが脇役というのも非常に興味深い。
ハン・ソッキュ、キム・ユンジン、ソン・ガンホ、チェ・ミンシクと若き日のスター達の共演が見れるのだが、とりわけチェ・ミンシクに驚いた。
渋カッコよすぎる。
『オールド・ボーイ』での彼しか知らなかったため、生ダコ食ってるワイルドなおっさんみたいなイメージだったが、『オールド・ボーイ』とは違う冷徹さがあり惚れた。
トークショーで監督が「当時の韓国では既にテレビで様々な役をこなせる俳優として知られていた」と仰っていたので、俄然興味が湧いてしまったかも。

唐揚げ