「失って気づくもの」バベル cavaliaさんの映画レビュー(感想・評価)
失って気づくもの
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先進国と途上国の対比をしながら、その国の一長一短を描写していくストーリーだった。
より高みを目指して繁栄のためひたむきに仕事をしてきた結果、家族を省みる時間を失っていないか日本人へ問う。ミリオネア夫婦が家政婦へ子育てを任せ、自らの自由な時間の確保を求めた結果、子供と対話する時間を失っていないかアメリカ人へ問う。
アメリカンドリームを信じて不法就労で米国での暮らしを続けた結果、故郷での絆を共有する時間を失っていないかをメキシコ人へ問う。
この映画に出てくる洗濯板で洗物をし、家族3世代で暮らす光景が見られなくなったのはどの国でもそれほど遠い昔の話ではない。モロッコのようにインフラや行政サービスはなくても、家族と地域の繋がりこそが生きることの原点であることを訴えかけているのではないか。
雲を目指すのは自由だが、生きている間にそこには届かない。上を見続ける野心は、その礎である家族との絆を見過ごすと砂上の楼閣に終わることを忘れてはいけない。
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