「エリアン陰謀説」ゼイリブ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
エリアン陰謀説
現代社会の諸問題をエイリアンの陰謀説とする突飛なプロット、彼ら(エイリアン)は地球人に成り済まして、我々の周りにうじゃうじゃ居る、特殊なメガネをかけると髑髏顔が浮かび出るというアナログな仕掛け。B級ホラーの職人ロジャー・コーマン監督へのオマージュなのだろうか、「美女とエイリアン」(1957)ではエイリアンのほうがサングラスをかけていた、なんとエイリアンは白眼だったのだ、また1963年には「X線の眼を持つ男」を創っていました。
身近にいる人間に化けた宇宙人というプロットでは1967年~のTVシリーズ「インベーダー」の方が知られているだろう。
エイリアンがテレビの特殊信号で偽装しているという仕掛けは斬新、真意は大宅壮一のテレビ低俗論、一億総白痴化と同じ警告、風刺なのだろう。
友人同士で延々6分間も殴り合い、どういうことかと思ったら、人間同士の争いごとをエイリアンは楽しんでいるし思う壺と反省しきり、戦争の擬人化とは斬新、はたまた低予算故の工夫だったのか。地球規模の侵略を受けながら戦っているのが町内会のようなレジスタンスしかいないのも情けない。一部の地球人が加担しているのは恐怖心ではなく買収されているとの説明だが流石に曲解に過ぎるだろうがそれもこれも確信犯だろう。
主人公が何かおかしいと気づくまでの30分はバックパッカーの貧困ドラマなので何の映画か戸惑うばかり、エイリアンものとしてはスケールも小さく、チープ過ぎてSFらしさはあまり感じない、人間同様銃器で戦い、撃たれれば普通に死ぬ・・、監督があえて昔馴染みの安手のホラー映画風にしたのは何故でしょう、マスコミの扇動による大量消費時代への警鐘という強いメッセージ性のパッケージにふさわしいと思ったのでしょうか・・。流石カーペンター監督、洒落がきついですね。