「歴史を辿るというよりも、友情が時代や立場を超えても成り立つであろうかという検証物語だったかも…」1900年 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
歴史を辿るというよりも、友情が時代や立場を超えても成り立つであろうかという検証物語だったかも…
イタリア推しの友人との再会を控え、
40年以上も前のロードショー以来の鑑賞。
若い頃は、8時間近い「戦争と平和」や
この作品など、長時間映画も
数多く劇場鑑賞したことを思い出すが、
この作品のことは、地主と小作人の
友情を通してのイタリア近代史映画だった
ことを記憶していた位で、
デ・ニーロとドパルデューのどちらが
地主の子だったか等、
全く忘却の彼方だった。
再鑑賞では、長い割には地主と小作人の
対立の経緯に説明不足が甚だしく感じ、
例えば、小作人高齢者の放火殺害への経緯や
地主側と対立関係になった小作人側が
どう生活を立てていたのかへの説明もなく
戸惑ってしまった。
また、地主をはじめとする
権利者側はファシスト支援、
小作人などは共産主義信望と、
単純化と象徴化が行き過ぎたきらいがあって
時代描写への深みを感じなかった。
多分にムッソリーニのファシズム化による
敗戦のトラウマからなのだろうが、
戦後のイタリアは共産主義国家化しなかった
訳なので、余りにも共産主義が戦後を
支配したかのような描写には
違和感があった。
かつての鑑賞では壮大なイタリア近代史の
映画に堪能したように記憶していたが、
実は、歴史を辿るというよりも、友情が
時代や立場を超えても成り立つであろうか
という検証物語だったのかも知れない。
この作品は、公開の年のキネマ旬報で「E・T」
と僅差の第2位に選出された作品だが、
その評価には疑問符の付く鑑賞と
なってしまった。
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