「キラキラ道徳心丸だしの体制迎合映画だと思う。」セルピコ マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
キラキラ道徳心丸だしの体制迎合映画だと思う。
この映画は日本の刑事ドラマの手本になるような映画である。本来は冷静に調査と取り締まりを繰り返さなければ悪を根絶やしには出来ない。感情を高ぶらせて、暴力に訴える。警官には向かない人だと思った。
この時期、僕の高校は服装の自由化を学校に求める運動をしていた。リベラルな教師が多かったのだろう。僕もそれには呼応していた。しかし、もとより、服装には全く興味なかったので、服装が自由になったら、学ランで通えば良いと思っていた。実はこの映画も殻を破る反骨精神の警官と言う触れ込みで見に行った。でも、鑑賞していて髭面が汚く感じて、外見を綺麗に保つ難しさを知り、結局は個性は外見では無いと感じた。
マフィア、銀行強盗、警官、浮浪者とアル・パチーノは演技をするが、どれもこれも外見が変わるだけ一本調子に想える。アメリカン・ニューシネマの名作如きに過大評価される意味が分からない。兎に角、髭面外見汚い。男を誇示している。
僕の高校は僕が卒業した数年後に制服の自由化を果たした。しかし、調子にのってそんな事ばかりやった影響で、偏差値が急激に落ちて、何年か後に制服を復活する始末をしている。今でも地元の恥の様な学校として、過小評価されている。しかし、僕にとっては、寧ろそれが心のよりどころとなっている。
僕はこのあとアメリカン・ニューシネマと言われる映画を見まくるが、アメリカが怖くなるだけで、感動した作品には出会っていないと思う。
冷静に考えて誰かの殉職シーンが話題になった『お日様にワォー』の方がかっこいいと思わないだろうか。アクションはお粗末だけど、沢山、爆薬使って派手なカースタント見せてくれるし。
さて、最期まで、この映画見て『バラキ』って映画思いだした。バラキの方が勇気があると思うが、この主人公には『遅い』し『ヘェ~年金貰ってるんだ』って、当時は思った。
勿論、年金はもらって良いのだが。映画の版権で金もらって、年金も貰う。キラキラ道徳心丸だしの体制迎合型人間じゃん。
多分、2回目の高校以来の鑑賞。つまり、50年ぶりの鑑賞。
アメリカの刑事ドラマは『コロンボ』であり、『ホミサイド殺人捜査課』だね。理由はコロンボのサスペンスとホミサイドの人間性かなぁ。
向かいのマンハッタンの街並み(ビル群)にワールドトレードセンターが映っていた。
マサシさんへ、
アル・パチーノは初期の1970年代の作品しか観ていません。「哀しみの街かど」「ゴットファザー」「スケアクロウ」「セルピコ」「ゴットファザーpartⅡ」「狼たちの午後」くらいで、その後の全盛期の演技は分からないですが、注目を浴び始めたときには既に完成された演技力で感心して観ていました。「スケアクロウ」と「狼たちの午後」の演技が好きです。少し遅れてロバート・デ・ニーロが現れると役柄が重なるのではと心配しましたが、順調にキャリアを重ねています。パチーノもデ・ニーロも演技派スターの実力者という、名実ともに素晴らしいアメリカ男優ですね。
マサシさん、コメントありがとうございます。
世界的に治安のよい日本から見ると、発展途上国は勿論どの先進国も犯罪率は異常と言わざるを得ません。人種の坩堝のニューヨークは、市長によって良くなったり悪くなったりと聞きますが、「セルピコ」の時代は警察の腐敗が重なり最悪の状況だったと想像します。そこでひとり正義を貫くのは相当な覚悟と信念が必要です。
シドニー・ルメットは、映画監督というより演出家のイメージが強く、実際テレビ演出家の前は俳優をしていて、映画監督になっても役者指導が主力の演出家だったのではないかと思われます。映画的な広がりや映像美は感じません。それでもヘンリー・フォンダの「十二人の怒れる男」は傑作ですし、ロッド・スタイガーの「質屋」、パチーノの「狼たちの午後」、ポール・ニューマンの「評決」と良い作品があります。正義感のある生真面目な映画人の印象が強く、映画的な遊びやゆとりに欠けるところはあるかも知れませんね。