「おそろしい」セブン R41さんの映画レビュー(感想・評価)
おそろしい
ミルズ
彼は「何でこの町に来た」んだろう?
赴任早々サマセットにたしなめられる。
刑事でありながらも、足を突っ込んではいけない事件があるのかもしれない。
定年直前のサマセットも、「事件から降りる。まだ5件続くんだ」と声を荒げた。
刑事にとって最大の盲点が家族だろう。
あの3億円事件の犯人もそうだと言われている。
そしてこのように被害者となるケースもあるだろう。
当時、
事前情報など一切知らずに入った映画館でこれを見た。
恐ろしく気分が悪くなり、それ以来見ることはなかった。
でも頭の中で考えていたのは、ミルズがあの出来事を避けるにはどうすればよかったのかということだった。
それは、冒頭のサマセットの言葉にあった。
オフィサーからようやく刑事になれたこと。
だから、面白い場所、活躍できる場所を選んだこと。
血気盛んな若者。
そして、
トレーシーがサマセットを自宅に招きこう尋ねた。
「独身なの? どうして?」
ここにサマセットが定年まで生き抜いてきた秘密があった。
「守るべきものがあっては、この町で刑事なんかできない」のだ。
空恐ろしい設定
キリスト教7つの大罪
犯人のジョン・ドゥー
彼は死の直前にいた被害者を発見し、彼の犯行を阻止したミルズに焦点を当てる。
記者に成りすましていた。
しかし、
ジョンは、警察署で「サマセット」の部屋の文字を剥がす作業員にも成りすましていた。
恐ろしいほど計画的だ。
彼はいったい何者なのだろうか?
単なるサイコではないだろう。
まるで機械的な異常者だ。
洗練された工作員ともいえる。
しかし彼の命令権者は彼自身だ。
その根源は思考に他ならない。
その思考にあるのは、彼にとっての正しさだろうか?
徹底して人々に罪の意識を持たせること。
狂信的カルト的 絶対的…
彼のように狡猾で思慮的で残虐で、目標を定めると徹底してその達成を目論むような人物には、ミルズの様な浅はかな考え方では隙だらけだったのだろう。
さて、
作品として恐ろしいほど面白いが、何故ジョンは捕まることを選んだのだろう?
そこに計画されたのは「自分自身を裁かせる」ことだった。
つまり彼は、自分も相当な罪人だと考えていたということになる。
この点において、これ以上徹底したことはないように思った。
本当に、
彼はいったい何者だろうか?
彼は計画を変更した。
指紋を消してまで計画的だったジョン 捕まるつもりなどない。
暴食 色欲… 怠惰 この怠惰の男が生き延びた。
計画変更したジョンは、トレーシーを襲った。
そこにあったのが、彼らの幸せに対する「嫉妬」
そして、ミルズの「憤怒」を誘ったのだ。
もし計画通り遂行できたのであれば、最後に残った嫉妬と憤怒を、彼はどのように計画したのだろう?
この部分が知りたかった。
いや、知らなくてよかった。
ただ、SLOTH(怠惰)の現場で初めてミルズとサマセットを存在を知ったと思うので、ネーム剥がしの人は違うと思います。確かに思わせぶりなアングルで居続けますが、同部屋がミルズに変わる描写の対比だと思います。