「ダークな格好良さと美しい脚本」セブン きーとろさんの映画レビュー(感想・評価)
ダークな格好良さと美しい脚本
オープニングクレジットが途轍もなく格好いい。映像と音楽がエッジが効いているというのか、好きな雰囲気でした。鑑賞後に見返すとおお…となるのもいい。エンドクレジットも異質でしたね。あんなの初めて見ました。
それと劇中表記のタイトルが『Se7en』なのも格好いい。センスが好きです。
鬱屈としたダークな雰囲気で、彩度が低い画面による没入感も良かったです。そこに更に雨が降っているもんだから最高に格好いい。
そんな重苦しい雰囲気の割に展開はスムーズ、というちぐはぐに、どことなく薄気味悪さを感じました。
暴力的場面を映像として描かないにもかかわらず、かなりのエグさと異常性を感じさせるのも上手いなあと思いました。そういった「あえて見せない」ことで鑑賞者の想像を掻き立て、恐ろしさや不気味さを際立たせているのが印象的でした。
直情的なミルズと理知的なサマセットという人物の対比もわかりやすく、性格や価値観を互いに引き立て合っていて素晴らしいかったです。感情の機微を言動の端々からにじませるような表現も素敵でした。
捜査の進展も淡々と描かれているけれど、魅せ方が上手いのでワクワクしました。
改めてブラッドピットは演技派だなあと思いました。『トゥルー・ロマンス』や『12モンキーズ』の脇役では纏う雰囲気がそれぞれ別人で、それでいて自然体なので驚きました。いろんな役を見てみたくなる。個人的には本作は彼らしい役どころだったと思います。前のめりな若者のイメージ。最近の出演作は見られていないのですが…今では渋い役も演じているのでしょうか。
もちろんモーガンフリーマンやケビンスペイシーも本作の魅力をより活かすような演技で、素晴らしかったです。
実は本作、大筋を知った上での鑑賞でした。そのため衝撃度は薄れてしまったのが惜しかったです。知っていても演出や演技のおかげで結構ドキドキしましたが!
脚本が鮮やかで、美しさすら感じます。
あまり深く考えずとも十分におもしろい作品ですが、セリフや表情1つ1つまでどことなく意味深で哲学的なので深く考えてみるともっと楽しめそう。観れば観るほど、世界観に浸れる作品だと思います。