白いカラスのレビュー・感想・評価
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物悲しい恋愛ものって空気感でした。
最後まで強く主張する事もなくもやもやとして煮え切らないので割と見る方に課してくる。
これは複雑な問題を単純にして分かりやすく善悪に分けて訴えることをしたくないからこその姿勢なのかな、この問題について世界はまだ解決していないし過去に出来ていないからこその展開なのか、間の尋問シーンが禊としてあって良かった。
淡々とした調子は少し飽きるが、身につきまとう問題って日常のつまらないパートの端々に差し込まれて邪魔してくるもんだやな。社会問題については考えさせられるものがあるけど、それよりも共依存の関係の重々しさと鬱陶しさが先に来ちゃって疲れた時に見るものではないなという感想です。
ニコール・キッドマンのベッドシーンは美しいし役者陣の静かな演技は良かった。
いろんなことが詰め込まれて主題が散漫に見える
総合70点 ( ストーリー:65点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
ニコール・キッドマンが人生に疲れたやさぐれた役をやっていて、最初は誰だかわからなかったくらい役に入っていた。アンソニー・ホプキンズも流石の演技。危険な夫役のエド・ハリスも迫力があるし、登場人物の演技は全体に上等。静かな緊張感が漂う演出も質感が高い。
だけど恋愛に失業に法律問題に差別にといろんなことが関連も強くないままに起きて、それらをふまえて彼らがどんな人生の選択をしたのかそしてするのかと、焦点がぼやけていてはっきりしない。歳の差のある二人の出会いと発展も強引に思える。より良い人生の成功を求めて苦渋の決断をして、それをしないから傷つきそれをするからまた周囲を巻き込んで傷つく。新しい角度から興味深い問題を内包しているのだが、ちょっとその主題が散漫になった印象があるのが残念。
ウィキペディアで調べたところ、「父親(いわゆる黒人)側の血縁にアフリカ系アメリカ人、ジャマイカ人、イングランド人およびユダヤ系ドイツ人、チェロキー族(アメリカンインディアンの一部族)がいる。」ということで、若きシルク教授役を演じたウェントワース・ミラーは複雑な人種の混血のようで、そう言われてみればそう見える。「Human stain」ではなく「白いカラス」はなかなか良い邦題だ。
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