「邦題の「白いカラス」は見事」白いカラス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題の「白いカラス」は見事
講義の内容はギリシアの戦士アキレスだ。あたかもコールマン(ホプキンス)に自ら喩えるような展開ではあるが、バイアグラに頼らざるを得ない戦士アキレスなのだ。人種差別問題を彼の女性遍歴、過去(スティーナ)、現在(死亡した妻)、未来(不倫相手フォーリア)の関係を、秘密を告白するかどうかで見事に対比させて表現している。まるで小説「破戒」のように自分の素性をばらしてしまうかどうか、隠しとおすことの美徳と罪を観る者に問うているように思える。
ストーリーの中心は、ホプキンスとキッドマンの二人がお互いの傷を優しく舐めあうかのような関係になるのだが、二人の展開にもっとサスペンス要素を取り入れてほしい。妻に逃げられた男エド・ハリスの狂気の沙汰を表現できていないこともつまらなくしている原因であろう。ゲイリー・シニーズは良かった(一瞬、ヴァル・キルマーかと思った)。
【2004年映画館にて】
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