劇場公開日 2023年4月29日

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「不条理な社会を告発したゴダールの不条理映画」ウイークエンド Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0不条理な社会を告発したゴダールの不条理映画

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

新しい映画の旗手、ヌーベルバーグを追い続けるジャン=リュック・ゴダールの不条理映画の傑作。作家の夢想する断片の記憶を脈絡なくそのまま映画作品にしたような、自由で奔放な、大胆で独善的なストーリー。週末のレジャー現象に多発する交通事故の悲惨なシーンは、人間の死そのものがドラマチックではなく、燃え上がる車の炎だけが生命感を感じさせる。コリーヌとロランの放浪の旅は、奇妙な夢幻の世界に行き着き、政治批判と文明批評の論理的ユーモアの、完全にゴダールの占領地へ。最後は森林地帯に棲息するゲリラ集団の反倫理の結末。シュールもここまで徹底されると、ゴダールの精神世界の怪奇さは難解であるが、表現者として恵まれた地位にあることも事実。ゴダールにしか作れない、ゴダールだから許せる社会批評であり、孤高の作家の疎外感からの告白論と云えるか。

Gustav