「今改めて見ても度肝を抜かれるSF映画の金字塔」トゥモロー・ワールド ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
今改めて見ても度肝を抜かれるSF映画の金字塔
キュアロン監督が2006年に描いた「21年後の未来」。それは『ブレードランナー』の2019年よりずっと後の世界ではあるものの、冒頭、カフェを出た主人公を包み込むのは、現代の延長線上にあるリアルな未来絵図だ。通りにはジェット噴射で空飛ぶ車どころか、二階建てバスと、そしてアジアの片隅を思わせるトゥクトゥクが走り回っている始末。この混沌とした手触りがこそが、作り手たちが周到にシミュレーションした証なのだ。
重ねて炸裂するのが驚異的な”長回し”。実はどこかで切れ目が入っているらしいのだが、要は「長回しかどうか」ではなく、それがどのような効果をもたらすのか、に尽きる。いずれにしてもこの映像がもたらした衝撃性は誰もが認めるところであり、その意味でキュアロンはすべての目論見に勝ったと言えるだろう。
ともあれ、本作に触れると映画の見方が180度変わる。当時のオスカー受賞しなかったのが不思議なくらいだ。
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