「「パルプ・フィクション」や「メッセージ」はこの原作からヒントを?」スローターハウス5 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「パルプ・フィクション」や「メッセージ」はこの原作からヒントを?
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原作を読んだ勢いで録画分を再鑑賞した。
以前の原作を読む前の鑑賞では
訳の分からないままに観終わった
印象だったが、
多分に、初めて御覧になった方は
同様に理解に苦しんだのではないだろうか。
とにかく、
主人公の人生がバラバラに描かれ、
宇宙人に囚われている描写まで
あるのだから。
ジョージ・ロイ・ヒル監督は
この難しい原作を映像化するに当たって、
流石に映画らしく、主人公の人生の各場面を
原作以上に小刻みに転換、そして前後させ、
観客を良い意味で映像の世界に
引き込み、混乱させ、そして魅了する。
しかし、原作と大きくイメージが違うのが、
この映画では
後半には台詞で明らかにされるものの、
主人公の過去は思い出のように、
未来は例えば飛行機の墜落事故のように
予知のように扱われるのに対して、
原作では当初から
主人公が自分の人生の全てを知ったまま、
各時代に行き来していると
明らかにしている点だ。
したがって、読者は、彼の暗殺死を
人生の最終章とは認識しない。
結果、この文学の主題であろうと思われる
原作者の死生観が、この映画では
薄められてしまったような印象を受けた。
因みに、キネマ旬報では第24位。
ところで、各時間がパラレルに描かれたり、
未来が見通せている設定との点において、
「パルプ・フィクション」や「メッセージ」の
原作者は、この本からヒントを得ている
のではないかと勝手に想像したのだが。
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