劇場公開日 1997年3月

「心の傷」スリーパーズ Maki maaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 心の傷

2025年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:その他、TV地上波

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ヘルズキッチンと呼ばれるマフィア、殺人が日常茶飯である都市で、<かっこいい>とマフィアに憧れる4人の少年。
ちょっとしたいたずらのつもりでやったことが人を傷つけてしまい、少年院へ収監される。
そこで待っていたのは、看守による暴行、レイプの地獄の日々だった。
身体の傷は、いつか癒されても、心の傷は決して癒えない。
ある日、2人が偶然、最も酷く彼らを痛めつけた看守ノートンを発見し、射殺してしまう。
4人の中でもずば抜けて優秀なマイケル(ブラッドピット)は検事になり、法廷に立つ。マイケルは殺人罪で起訴された2人を無実にするべく、綿密な計画を立てていた。
はたして、マイケルはレインメーカーになれるのか。レインメーカー=干魃時に雨乞いをして、雨を降らせる奇跡を起こすこと。
無実にする鍵を握るのは、彼らの少年時代から見守ってきた神父。この神父がデニーロ。最高の適役、最高の演技。
『聖書に右手を乗せ、真実のみを語ると誓ったあとで、嘘をつけというのか』という神父に、少年院でのすべてを語るシェイクス。あまりの酷さに呆然とする神父。はたして彼は証人として法廷に現れるのか?はたしてマイケルはレインメーカーになれるのか?
予定調和で、結果は予想できる。が、決してハッピーエンドではない。すべてが終わったあと、検事を辞したマイケルは田舎暮らしを選び、結婚もせず、孤独に生きる。それほどに心の傷は深いのだ。法廷で被告側証人になった神父が、これもマイケルの意図なのだが、『どうして、チケットの半券を大事に持っていたのですか?』と尋ね、神父の答えが秀逸。
『念のために。何事にも初めてがありますからね』

Maki maa
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