「エゲツない」スリーパーズ ケロケロケロッピさんの映画レビュー(感想・評価)
エゲツない
昔観たけどどんな話か忘れちゃったので、再鑑賞。
結果「自分よく忘れられたな!?」と思うぐらいエゲツない話やった。特に前半は酷すぎる。スタンドバイミーかと思うぐらいのキラキラな少年時代、からの少年院の落差が酷すぎて、見てるだけで鬱になりそう。しかしケビンベーコンは嫌な奴を演じさせたらほんまにピカイチやな。変態鬼畜看守達があまりにも酷すぎて、心がかなりしんどかった。
レイプシーンそのものの描写は無いものの、叫び声、泣き声、どんどん濃くなる目の下のクマ、どんどん暗くなる表情、それだけで少年たちが受けた心身の傷を察することができて、神父デニーロに成り代わって慰めてあげたくなった。
しかし大人になってからの後半のストーリーは結構駆け足だったので残念。ノークスは見つけた途端殺してしまうし、ファーガソンは法廷でじっくり罪を告白させるが、あとの2人の復讐はほぼ語りだけ。もっと時間をかけて、罪を認めさせて償わせるぐらいじゃないと、前半のストーリーに対して割に合わないのでは!?と感じてしまった。
同じような話で、レイプ加害者に法廷で報いを受けさせるジョディフォスターの告発の行方(ちなみにこちらのレイプシーンはトラウマレベルでエゲツない)を思い出して少し似ているかなと感じた。しかし法廷劇・復讐劇という点では、本作の方は少し見応えが足りないかな…
いかにして復讐するかよりも、同じ傷を負った男たちの友情やヘルズキッチンの絆、神父に嘘をつかせてまで貫きたい正義、といった要素に重きが置かれている分、後半にいろいろ詰め込まれ過ぎて、少し尻切れトンボに終わった印象。
とは言えキャストも豪華で重厚感もあり、在りし日のブラッドレンフロ君が出ている貴重な映画でもあるので、そういう意味での見応えはあります!
余談やけど、少年に対する性的虐待の映画って結構聖職者による被害を描いたものが多いイメージだったが、この映画ではデニーロがあくまでも聖職者のまま少年たちの心の拠り所的としてあり続けるので、その点では観客としても少し救われたかな。