「素晴らしい家族ドラマ」イカとクジラ kuさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい家族ドラマ
久々に最初から最後まで食い入るように見た映画でした。
どこかの家族の様子をのぞき見ているような。けれどちゃんと映画らしい脚色もあって退屈しない。すばらしいと思います。
どうしようもない父。いい年して愚痴やひがみばかり口にし、自分よりも作家として売れている母のことを受け入れられない様子。
そんな父に疲れた母は、母ではなく女として近頃は生きている。
長男は父親側で母を軽蔑し、二男はその逆。
大人になった今だからこそですが、どの人物の気持ちもわかるんですよね。子供にはわからないこと、男にはわからないこと、女にはわからないこと・・・。もつれにもつれていく家族。そのことが影響して各々の生活もなんだかこんがらがっていく。
これだけ胸にくる描写が続くと、しんどくなりそうな気もしますが、まったくそんなこともなく。作品の長さが80分というのはちょうどいいと思いますし、BGMやテンポのよさが、見やすくしてくれていた気がします。
一番最後のシーン、様々な味方ができるのではないかと思います。
長男のまなざしが「強い意志」にも見えるし、昔とは印象が違っていたという「あっけにとられた」ようにも見える。
いずれにしても、もう一度見たことで彼や次男はたくましく生きられるだろうという希望を、見ている人に与えてくれるラストだったと思います。
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