戦場のピアニストのレビュー・感想・評価
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意味もなくどんどんユダヤ人を殺していくドイツ兵
なんて、本当にいたのだろうか。いくら戦争といえど信じられない。それとも、戦争とはそんなものなのか。殺していく彼らは、映画で見る限りは、心のない(形だけ人間の)ロボット(?)のようにも見える。
映画自体は実話だそうだ。「シンドラーのリスト」や「ヒトラーのための虐殺会議」とあわせて見てほしい。
戦争は無くならない
どれだけ平和を願っても戦争は無くならない。過去の出来事から何も学んでいない。
人は(生命の大切さ)を本能的に知っているはずなのに人間同士殺し合うのは何故なんだろうか??
僕も戦争が始まれば誰かを殺すようになるのだろうか??もしくは自衛隊が敵を殺すのを見て喜ぶようになるのだろうか??
期待度◎鑑賞後の満足度○ ロマン・ポランスキー監督が映画化したかったのはよく分かる。でもそれ程感銘を受けなかった。
戦争の歴史はみんな自分ごととして捉えなくちゃ
ただただ生き抜くことがこんなにも難しいなんて。
決して納得のいく理由があってされたわけではない迫害。つまり明日は我が身かもしれない。ある日突然自分の暮らしがこうなったら……そう考えると身の毛がよだつ。戦争なんて何があっても絶対にしてはならない。それを忘れちゃいけない。とても観ていられないシーンも多く何度も目を覆ったけど、後世にずっと残していきたい、いや、残さなきゃならない映画。
一方で、『生きる』ことさえ諦めなければいつどんな風に好転するかわからないからどんな時でも希望を持つのをやめてはいけないことを教えてくれる作品。
潜伏中にドイツ軍将校に見つかってしまい、言われて演奏した曲がピアニストの魂の叫びとでも言わんばかりの激しさでこちらの魂が揺さぶられまくり。これまで受けてきた仕打ちへの抵抗、この後すぐに待ち受けているであろう自身の死、人生をかけた最後の演奏と言わんばかりの激しさ。あとで調べたらショパンの『バラード1番』とのこと。バラードって……。
完全なるフィクションだと思って観ていたら最後の最後に実話を基にしたお話だと知った。
いくらピアニストでも長年潜伏生活していて突然リクエストされてあんな風に指は動くのかしら??
パルムドール作品と相性悪い私だけど、この作品は文句なし🌟
想像と違った
こんな辛いストーリーだったのか、、
ナチスの話ってことすら知らなかった。
主人公はピアニストだったがユダヤ系だったため迫害を受ける。
ユダヤ人は腕章をつけなければ外を出歩けず、次は退去を迫られユダヤ人だけの街を作られそこから外には出られず、終いには列車に入れられ、、
主人公は乗らずに済んだけど、家族は全員殺されちゃったんだろうなぁ。
車椅子のおじいさんがベランダから落とされるシーン、外の壁から中の壁に食料?を運んだ子供が殴り殺されるシーン、家族6人で1つのキャラメルを分けて食べるシーンが忘れられない。。
そしてこの感想を書いている時に気付いたのだが、あれがベルリンの壁だったのか、、。授業で習ったが、中があんな悲惨な状況になっていたことは知らなかった。
主人公シュピルマンを助けたドイツ兵良い人だったな。
名前も知らなかったから助けられないのは悲しかったが、それが戦争か、、。
最後ドイツ兵から貰ったジャケットを着て外に出た時、デッドエンドか、、と思って落胆したが生きててよかった。ラスト演奏シーンは泣けた。
プーチンと金正恩に見せよ。響かないだろうが。 独裁国家のトップがそ...
エイドリア・ブロディが好きになるきっかけとなった作品
ストーリーの中盤はユダヤ人が団結して暴動を起こすのにシュピルマンは冷ややかにゲットーの外で見つめている、この光景がどうも納得いかなかったのです。しかし、途中で「これは反戦をメインテーマにした映画ではない!」と気づき、彼の究極の生への執着に対し徐々に惹かれていきました。ユダヤ人迫害の映画ならいくらでもあるし、反戦色や残虐性を訴えたものも数知れないくらいだ。どんなに惨めな体験をしても名誉ある死を選ぶわけでもなく、臆病者の烙印を押されようが、どん底にあっても生きる希望を持つことに感動しました。
しかし、実在のピアニストであることを知っていると、「何とか指を怪我しないように」とか「長い期間のピアノのブランクがあると後が大変だぞ」とか余計なことを考えてしまい、ピアノの置いてあるアパートのシーンでは、何とか弾かせてあげたいと祈るような気持ちになってしまいました。
好きなシーンはドイツ将校から食料を分けてもらうところで、缶切りが入っていたところ!細かな描写ではあるが、演奏を聞いた彼の感謝の念がよく伝わりました。。。
【2004年2月映画館にて】
ユダヤ人が何か悪いことをしたのか?
なぜこんな目に遭わなければならないのだ?そう憤りながらドイツ兵に理不尽な暴力を受け仕舞いには皆殺されてしまう。死刑囚より酷い扱いだし呼び止められれば死の恐怖だ。早く死んだ方がマシなのか?僅かな希望を持ち極限のストレスと飢えを味わいながら生きながらえた方が良いのか?終戦まで生き延びられた人は地獄も見ただろうけど本当に運が良かった。この主人公は運もあるけどピアニストだったから助けられどうにか免れたのだと思う。でも数年弾けなくていきなりあんなに指は動かなかったはず。ピアノが偶然ある部屋に匿われた時も葛藤だっただろうね。彼にとってピアノを弾くことが悲しみを紛らわす唯一の方法だっただろうから。
戦争は絶対にしてはならないし、加担してもいけない。今のロシアの暴走を世界が協力し合って止められないものかと思う。
2度目の鑑賞だけど戦争が現実味を帯び前回より心が揺さぶられたように思う。
生きることの意味と人間の残酷さ
事実は小説より奇なり、の如く、事実は小説より残酷でした。
映画で衝撃を受けた私は、映画の脚本ではなく、本人が書いたものが日本語に翻訳されたものを購入して読みました。
そして、さらに衝撃を受けました。事実は映画(原作本)よりも恐ろしく、人間の残酷さを実感しました。結婚後旦那に読ませたら、あまりの残酷さに途中でリタイヤしていました。
映画ではピアノも演奏されますが、ピアノがあれほど寒々しい旋律に聞こえたことはありません。
残酷で悲しい映画ですが、人のやさしさも垣間見える映画でもあります。
やさしさと残酷さを合わせもっているのが人間なんですよね。
なかなか映像化するのが難しい内容なのですが、そこを薄くならずに映画化できたのは本当にスゴイと思います(監督ロマン・ポランスキーだからかな?)。
映画見ていて実際に自分がその場所に今いるような錯覚にすら陥りそうになり、恐怖を感じながら最後まで見ました。音もリアルに響いた記憶があります。
生きることの意味と人間の残酷さについて、改めて考えました。
人間のさがとして、自分だけがよければ良いという感情は誰でもあると思うんですよね。
いじめとかそうじゃないですか?、見て見ぬふりする人もそうですよね?
ユダヤ人迫害って、実際に関係していたドイツ軍関係の人たちも、すごくそれと似ているんですよね。
みんな傍観者というか、「任務を遂行しただけ」という意識が強くて、人を殺したり迫害をしたという意識が非常に低いというか、「無い」のです。
自分は収容所へ運ぶための列車に人を何人運べるかを管理した。
自分は人数と名簿からリストを作成した。
などの、国家からの任務を遂行をしたという意識しかない。
学校での集団のいじめや、国家命令の恐ろしいところって、そこですよね。
人間の思考を奪う。
面倒だから傍観者になれるし、自分さえよければいい、という感じ。たぶん迫害も同じ。
ヒトラー政権時、レジスタンスのため地下組織で活動した人たちを尊敬します。
私は傍観者になってしまう人だと思うので。
同じ背景の映画としては、シンドラーも有名ですが、私には戦場のピアニストの方が胸に響きました。どこが違うのか?、もう一度シンドラーのリスト見てみよう。
映画を見る前にもユダヤ人迫害についてはアンネの日記や、アンネをかくまったミープさんが書いた本も読んでいました。
TVも見ていました。
(中学生頃に、NHKで放送した「キティアウシュビッツに帰る」というイギリスのドキュメント)
今まで見たもの以上の衝撃(ショック)が、この映画にはありました。
2003年に映画館で見ました。
仕事関係の研修会(という名の忘年会)で鑑賞券が当たりました。
1枚だったので珍しく一人で鑑賞。
当時は夜遅くまで働いていたので、最終上映にすべりこみ、良さそうなタイトルの映画を選んだつもりだったのですが、タイトルとは違いました。
生きていると辛いこともあります。
今でもときどき、生きることの意味を考えることがあります。
生きたくても生きることができなかった、多くの方々のことを忘れないようにしたいです。
悲しい映画なのですが、何故か、また見たいなと思える映画です。
希望の光が少し差し込んでいるような映画です。
缶詰を抱えて歩く姿
舞台は第二次世界大戦下のポーランド、ワルシャワ。
ナチスドイツの侵攻によって、ユダヤ人への迫害は加速していきます。
初めて鑑賞した際は知識もなく、ただただナチスドイツによる侵攻がどんな結果を招いたか、ユダヤ人がどんなに酷い目にあったのかを目の当たりにする作品だと思っていました。
その衝撃を胸に、今回この作品をもう一度見て
本当に伝えたいことは別のところにあったと気がつきました。
昨日まで誰に許可されるでもなく営んでいた生活が、徐々に侵されていく恐怖。
道端に転がる子どもや老人の死体。
ドイツ兵の独断で順々に人が撃たれていく中、逃げることもできずただ死を待つしかない時間。
飢えていても食べ物を探しにいくこともできない主人公。
缶詰を抱えて歩く姿が目に焼き付きました。
作中、余計な綺麗事は一切なく、ただ生々しく
"差別というものへの恐怖"を思い知らされる作品でした。
自国を愛し、自分のルーツに誇りを持つことは構わない。
しかしそれは行き過ぎると、自国や自分自身を正当化するために異なる人種や宗教を持つ相手への否定に繋がっていきかねない。
ドイツ将校の彼が、シュピルマンの奏でるピアノの音色を聴いて最後の救いの人となったように
個人に目を向け、耳を傾けることで自分の中の差別と向き合ってみることが最初の一歩なのではないかと思います。
また、主演のエイドリアン・ブロディの演技力にも脱帽です。
ピアニストという芸術家の繊細さを身に纏う好青年が
痩せ細り、徐々に正気を失っていく姿がとても切なく
史実に基づいたストーリーをよりリアルに感じさせてくれました。
この撮影後、彼は相当な鬱状態に悩まされたというインタビューを読みました。
演技のために必要以上に心身を削ることはあまり良いことと思いませんが、それだけに彼の演技が神がかっています。
監督の問題もあり、あまり表立ってオススメはできませんが
一生に一度は観てほしい作品です。
必死に生き延びた
自宅で動画配信サービスを利用して視聴しました。
ドイツ軍の占領下であるワルシャワで生き延びたユダヤ人ピアニスト。様々な人間の手を借りて、最後には敵国であるドイツ軍将校の手も借りて生き延びました。あれだけの人々の助けを借りることができ、奇跡手に生き残ったのは、それだけ彼のピアノの才能が神様も人々も魅了したということなのだと思いました。
戦時下のドイツ兵による横暴が局所で描かれたり、戦時下の理不尽な悲惨なシーンはいくつもあります。ですが、主人公の心情を必要以上に誇張して演出しているということはなく、自分としては見やすかったです。
タイトルなし(ネタバレ)
ピアニストなんて華々しいタイトルとは裏腹に、ユダヤ人として戦下激しい差別を受けながらも泥臭く生きる一人の男の実話。メッセージ性の強い作品のため、観ていてかなり心苦しい場面の連続。直接的に過激な演出を見せられるよりも、目を背けたくなるリアリティーがあった。
ただ、ユダヤ人を匿えば自らの立場も危うくなるなかでも手を差しのべてくれる人がいて、一番の敵であるドイツ兵のなかにも弱い立場にあれば助けてくれる人がいる。物語に救いがある分、幾分か心も救われた気がする。
実話である以上どうしようもないことだが、最後命の恩人であるドイツの将校は何とか助かって欲しかった。それでも人間として大切なものに気づかせてくれる良い映画だった。
人の命って何なんだろうか
映画の中で倒れていくユダヤ人、ポーランド人、ドイツ人。人は生まれながらに不平等なので、命の重さも必然的に不平等になってしまうと思うが、ユダヤ人の命がここまで軽視されていることに対して、非常に残酷に感じた。特に、車椅子に乗った男性がベランダから落とされるシーンではその残酷さ、不条理さを物語っていた。主人公を救ったドイツ兵等、心温まるシーンはあったものの、人類が胸に刻むべき出来事であることは間違いない。
ずっと苦しいが最後の最後に・・・
この映画はドイツ兵から逃げながら飢えをしのいで耐えるシュピルマンが長い時間描かれずっと苦しい。
でも多くのユダヤ人が虐殺される中で最後まで生き残るシュピルマンの精神力の強さと運のよさはすごい。
最大の幸運は、ドイツ将校のホーゼンフェルトに会えたことだと思う。このシーンで2時間近くずっと苦しいところからようやく解放された。
ホーゼンフェルトはなぜシュピルマンを助けたのだろう、シュピルマンのピアノを聴いて、どういう気持ちだったのだろう?映像を観てるだけではわかりづらい。
気になったので後から調べてみると、ホーゼンフェルトはもともとポーランド人やユダヤ人を秘密裏に支援していたとのことでした。こんな鬼畜の所業がなされている中で、ドイツ人の中にもまともな精神をもつ人がいたのだということを知り救われる気持ちになった。
ぬるま湯の中でゆでられる蛙にならない為に
何を知った気になっていたのだろう…。
ナチスによるホロコーストを描いた映画。
アウシュビッツ=ピルケナウ強制収容所等を訪問して、現地のガイドからいろいろなお話を伺い、知った気になっていた。
映画・漫画・本で知った気になっていた。
けれど…。
平和な生活。それが、次々に発令される法律で、いつの間にか職を奪われ、生活の場を限定され、尊厳を傷つけられ、命すらも奪われる状況に陥っていってしまった。何がどうして?気がついた時には遅かった。その状況が淡々と展開していく。その中で生きる人々の変容が淡々と綴られていく。ドイツ軍に占領されて、いきなりユダヤ狩りが始まったのではなくて、少しずつ追いつめられていく様子に驚愕した。
この状況を止めるために何ができたのだろう。ユダヤの方々に、ユダヤ以外の方々に。ユダヤ以外の方々にとっては「この程度」の決定だったのか。ドイツ軍に占領されていたからポーランドの人たちには何もできない状況だったのか。とはいえ、坂を転がる雪だるまのごとく、気がついたら止まらなくなっていた。命かけてレジスタンスしなければいけない状況になっていた。
ぬるま湯に入れられた蛙は湯の温度が上がってきてもわからずに、結局ゆでられても、逃げ出すこともなく死ぬと聞いた。
次々に法令が発令されて追いつめられた様子に、そんな蛙をイメージしてしまった。
次々にきな臭くなってくる日本も、それほど重大じゃないと思っていたら、いつの間にかこのホロコースト・戦争に巻き込まれたように抜き差しならない状態になるのではと、この映画を見ながら怖くなった。
そんな尋常ならざる状況に翻弄される主人公。
普通に生きていただけの市民の一人。
幸いたくさんの人々のお陰で生き延びられた。ユダヤ教には詳しくないけど、宗教的に自死は禁止されているのだと思っていた。生への執着というより、どにかく生きるしかない。何のために生きるのか、このまま野たれ死ぬのか。良いことが起こるとは思えない状況。涙を流して泣くことすら拒否するような、感情が鈍麻してしまう世界。観ているだけで苦しくなった。”ピアニスト”というアイデンティティがあったから精神崩壊せずに生き延びられたのか。そう考えると、クライマックスでの演奏に身震いした。生きる屍から生還した瞬間。
「主人公が、有名でファンをたくさん持つピアニストだから助けられた」というレビューも拝見する。アウシュビッツ=ピルケナウ強制収容所行きの列車に乗らないように、主人公を引っ張った人の動機はそうなのかもしれない。
けれど、無名の普通の人々を匿い、助けた記録はたくさん存在する。実話、もしくは実話をベースにした映画もたくさん制作発表されている。そして何より有名な『アンネの日記』。アウシュビッツ=ピルケナウ強制収容所で、ユダヤの方の身代わりになってお亡くなりになられたコルベ神父(刑に服された部屋が、アウシュビッツ=ピルケナウ強制収容所に残っている)。
この映画は、シュピルマン氏の自伝をもとに脚色されている。だが、主人公を通して、映画で目にするナチスの行為は、監督自らが経験したものではないのか。父によって逃がされ、両親・姉と離れ、終戦まで一人で生き延びた少年。ローティーン(終戦時12歳)の少年に何ができたのだろう。ロマン少年と映画の主人公が重なって見える。映画でのシュピルマン氏を描いたかに見せて、ご自身の経験を描いたかのような。
そんな主人公の周りの人々。
より安全に生きるために、権力におもねる人々。
一粒のキャラメルを割ったように、「助け合って」をしようとした人々。
なす術もない人々。
命かけてレジスタンスする人々。
「逃げるよりも、生き伸びるのがつらい」逃げるって天国に逃げるってこと?
主人公が狂言回しのように、この異常事態で起こる様々なことや人が点描される。
そんな中での出会い。
ある方に教えていただいたが、ドイツの将校を誤解していた。
日本語字幕では、終盤現れるドイツの将校の、主人公への言葉使いが命令口調で乱暴だけれど、映画では日本語で言うところの丁寧語を使って、将校は主人公に話しかけているのだそうだ(ex字幕では「お前」と主人公に呼びかけるが、ドイツ語の台詞では「貴方」」と言っている)。他のドイツ兵は差別的な言葉使いを使って家畜か何かのように扱っていたのに、あの将校は、主人公のピアノを聴く前から丁寧語で呼びかけ、主人公を一人の紳士として扱っていた。それが日本語訳では表現されていないので、将校に対するイメージが違ってくる。
(教えていただきましてありがとうございました。)
尤も、日本語訳のミスがあっても、彼が、自分がドイツ軍であることを嫌悪しているのは伝わってくる(細かく言うと彼はナチ親衛隊ではなく、強制的に軍に駆り出された人、本来の職業は教師)。
原作未読。原作を読んだ方からこの映画はほぼ原作に忠実と聞く。
ただ、数点変えてある。そのうちの一つ、終盤出てくるドイツ将校は、主人公を助けただけではなく、何人も助けている。シュピルマン氏をはじめ、彼に助けられた人が助命嘆願を重ねていたが救えなかったというのに、この映画の中ではその様子が描かれない。それどころか、恩人の懇願に対して何もしなかった主人公と誤解している人すらいる。
なぜ、監督はそんな描き方をしたのだろう?戦争終結後に二つ目のクライマックスを描く必要はないと考えたのだろうか。ならば、あんな形で将校を再登場させずに、エンディングの字幕で説明すれば良いだけの話だ。
つい監督が『シンドラーのリスト』の監督を断ったところと関連付けてしまいたくなる。
ここに、監督の怒りのようなものが表現されているように深読みしてしまう。
善意あるドイツ人が、数名のユダヤ人を救ったからといって罪滅ぼしにはならないと。
ドイツ・ソ連と力関係が変転しただけで、同じことの繰り返しなのだと。
そして、
そもそも、このような異常事態を起こしてしまった大人への怒り…。
これは、天災ではなく、事故でもなく、一人の狂気によるものでもなく、彼の台頭を許してしまったことによる大勢の人による人災なのだと。
ぬるま湯の中でゆでられていく蛙にならないためにはどうしたらいいのか、
政治への無関心の代償は何なのか、
希望が見えない中でどう自分を保っていくのか、
人への尊厳を究極の状態の中でどう表現していくのか、
人との繋がりとか、
芸術の持つ力だとか、
壮絶なる経験とどう折り合いをつけ、相手をどう許すのか、
とか
いろいろなことを考えさせられ、心を大きく揺さぶられた。
心に残っている映画のひとつ
結局生き残るのは偶然なんだなと。
第二次世界大戦でかつ、ユダヤ人に焦点を当てた作品って、”シンドラーのリスト”とか”ライフ・イズ・ビューティフル”とか陰鬱な雰囲気で、救いのないお話なんだけど、必死に生き残ろうとする主人公たちをみて、頑張って生き残れ!って共感できるように演出して、如何に物語として成立させるかが、映画として大事になってくるんだけど、本作は僕の中で満点でした。
実際にロマン・ポランスキーがユダヤ人で、幼い頃に強制収容所で育った人って聞くと、彼のアメリカでの行いはともあれ、彼の経験を後世に語り継ぎたいっていう強い意志が、拘りが感じ取られて、素晴らしい作品に仕上がっていたと思う。
エイドリアン・ブロディ演じる主人公が、ただひたすらに周りによって生かされるってのも、主人公っていうより、ただの一般市民って感じが強くて良かっし、物凄くリアルに描けていた。彼が2時間半の間にただひたすらにボロボロになっていくのも引き込まれた。主人公が弱いってのも”戦場のピアニスト”の好きなところ。
最後の方のポーランドの町が崩れているシーンも、ただひたすらに絶望的で良かったし、実際戦争があったら、あんなにぐちゃぐちゃになるんだろうなと思えた。ドイツ軍将校がユダヤ人を虫のように殺すシーンも、本当にこんなんだったんだろうなと思って、戦争が人を狂わすのが見ていて怖すぎた。ただ黙って殺されるユダヤ人も、色々あるけど、死んだ方が楽だと思ったのかなと捉えられた。
言葉にならない
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