「ポランスキーの最高傑作と認識する再鑑賞に…」戦場のピアニスト KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
ポランスキーの最高傑作と認識する再鑑賞に…
ポランスキー映画と言えば、
30代で演出したシャロン・テートが魅力的
な「吸血鬼」や、
子供心ながらも母性というものを描いている
のではと感じた「ローズマリーの赤ちゃん」
が若かった頃の私の記憶だ。
今回、70歳直前の彼の監督作品の
再度の鑑賞で印象的だったのが、
ドイツ兵の残忍な描写の数々。
そんな中、
主人公のピアノを理解する将校の登場は、
ドイツ軍人への印象のバランスを取るため
でもあったろうが、
芸術は国境や憎悪をも超えるとの
芸術家ならではの見事なメッセージ
ではなかったろうか。
また、ここまでゲットー内の状況を詳細に
描いた映画は記憶がないとのことや、
更には、全編、主人公の潜伏と逃亡、
そして、飢えへの対処のシーンで
ほぼ埋め尽された作品だったことも印象的。
そんな、淡々とした物語を、
最後まで緊迫感を切らさずに描き切った
ポランスキーの演出力に驚かされると共に、
私にとっては再鑑賞で評価をかなり改める
作品の一つとなった。
若くして実力を発揮していた
ポランスキー監督だが、
話題となった70代前後以降の
「ゴーストライター」や
「オフィサー・アンド・スパイ」を
含めても、この映画は、
彼の生涯の中での最高傑作のように感じた。
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