「旧き良き時代の英雄物語」ストリート・オブ・ファイヤー Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
旧き良き時代の英雄物語
総合:85点
ストーリー: 45
キャスト: 80
演出: 90
ビジュアル: 80
音楽: 95
ありきたりのくだらない現実無視した物語に、素晴らしい活劇や音楽を乗せて、最終的に一流の娯楽作品に仕上げた。
どうみても現代アメリカで現実にこんなことが許されるとは思えないほどの無法地帯に、マイケル・パレ演じる無頼漢の正義の味方が帰ってきて街を浄化、そしてもう俺の役割は終わったよとばかりに街を去っていく。一応リッチモンドという街が舞台となっているらしいが、どこか架空の街や時代が舞台となっているように思える。とても現実にこんなことは出来はしないだろう。物語を進行させるためだけに設定された町である。
だがこの映画ではそんな物語はどうでもいいのだ。数多くの悪どもの暴虐無人ぶり、そこに一人やってきた英雄と彼らとの対決、バーやらライブやらであちらこちらで取り入れられるいかした音楽。そのような演出がかっこいい。ウィレム・デフォー演じる悪役が本当に暴君ですごく悪そうなのだが、それが悪の親玉らしく一騎打ちでの決着というのがまた迫力あってかっこいい。
最後に助け出された歌姫役のダイアン・レインが「Tonight is what it means to be young」を劇場で歌う場面が(本当は歌は吹き替えらしいが)、力強い曲の良さと相まって結末を一気に盛り上げる。この映画の挿入歌は、数多くの映画音楽の中でもかなりの傑作。個人的には最初のほうで歌う「Nowhere fast」もお気に入り。
設定や物語をあまり現実に即して細かく考えたりせずに、旧き良き時代のすっきりする英雄物語というのを現代風に強調して製作された娯楽活劇である。だから安っぽい物語だとか今時こんな英雄像は古いだろうとか思わず、この独特の悪のはびこった世界とそこにある活劇と音楽を楽しめば面白い映画。