スパイキッズ : 映画評論・批評
2001年12月4日更新
2001年12月15日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹系にてロードショー
ガキっぽい? それがどーした!
「ガキっぽい」と言うなら言ってくれ! それがどーした! と答えよう。だってこのガキっぽさこそが、この映画の楽しさなんだから。稚拙ということではない。子供の頃、欲しくてしょうがなかったあれやこれで満たされた、オモチャ箱みたいな映画。子供の空想力にどこまでも忠実な冒険娯楽作なのだ。
それもそのはず、これはロドリゲス自身が子供時代に抱いた空想が元ネタなのだな。彼はFBIエージェントのおじさんがいて、彼の話から「なりたいヒーロー像」を膨らませていたとか。なんたって圧巻なのが、次々と繰り出されるスパイ・アイテム! ガジェットもデザインも、ドラえもんに余裕で勝ったな。しかも悪役がガキそのもの(怪優アラン・カミング本領発揮!)で、悪事より自分がホストをしている子供番組が一番人気になれないとかいってスネちゃう野郎。このあたりのディテール、ふやけ加減がたまらなく愛おしい。
たいしてスリルがない代わりに、カタルシスはある。姉に小突かれてばかりのダメダメな弟がコンプレックスにうち勝つ姿なんか「リトル・ダンサー」さながら。冒頭の「伝説」語りはいつものロドリゲス節炸裂だし、ここまで遊べれば言うことなし! でしょ?
(若林ゆり)