「「モンタナの風に抱かれて」での、馬と人間の関係との相似性に…」シービスケット KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「モンタナの風に抱かれて」での、馬と人間の関係との相似性に…
この作品は、キネマ旬報ベストテンで
共にミステリー色の強い
「ミスティック・リバー」と「殺人の記憶」がワンツーフィニッシュした年に、
第8位に選出されていた。
実は、
この少し前に、「サンタナの風に抱かれて」
という作品を観ていたが、
この映画との相似性に驚かされた。
「サンタナ…」では馬と会話する
ロバート・レッドフォード扮する
ホース・ウィスパラーという調教師
が登場したが、
この作品のトビー・マグワイア演ずる騎手と
クリス・クーパーの調教師が
まさに同じように見えたし、
この作品での騎手が足の怪我を押して
乗馬し勝利するシーンは
「サンタナ…」での片足を失った少女の
再生の姿に重なった。
それにしても、この作品での馬の疾走感は
目を見張るものがあった。
あたかも、ジョン・フォードの西部劇を
思い出すような見事な撮影に感じる。
ただ、ドラマとして、馬主・調教師・騎手の
3人がお互いに影響し合うという
トライアングル的構造を話のベースとした
狙いが分からなくはないが、
お互いを認め合うことまでに至る
説明描写が弱いことに加え、
主役が3人に分散してしまったことから
必然的に長尺化した印象、
また、強豪馬とのマッチレースや
ラストでの復活劇レースの展開を
デイフォルメ化し過ぎて、
リアリティを欠いてしまった演出は残念
に感じた。
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