「サユリスト」SAYURI kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
サユリスト
日本文化や日本人の心、はなまちのしきたりなど、「ハリウッドが描いた日本なんて虚構の世界だ」と批判する日本人も多いのだろう。多分、監督もスタッフも出演者も皆十分に納得していたのでしょう。しかし、映画を観る日本の一般庶民にとっては、芸者の世界なんて夢のような世界。多少嘘があろうとも、おかまいなしなのです。所詮、ファンタジーの世界なのですから・・・
とりあえず予習のつもりでロブ・マーシャル監督の『シカゴ』を観直してから臨みました。もしかしたら共通点が見つかるんじゃないかと思ったのですが、同じ年代という時代設定の他にはカメラのフラッシュくらいだったでしょうか、音も映像もかなり似てましたよ(当たり前ですが)。また、主人公役(『シカゴ』ではゼルウィガー)の内面を表現するための陰と陽。コン・リーの存在も絡んできて、重厚さを増していたように思います。
この映画にはいくつものサプライズがありましたけど、まずは冒頭から日本語でのスタートです。「字幕版を選んだはずなのに・・・」といきなりのサプライズでした。そして相撲シーン。役所広司の言う「叩き込みが得意」だという小兵の登場です。舞の海を思い出しますが、やはり「八双飛び」や「猫だまし」といった独特の小技を紹介してもらいたかったような気もします。また、インタビュー番組にて工藤夕貴が「意地悪な役だから」と言ってたと思うのですが、全く意地悪じゃないんですよね。これもひとつのサプライズに繋がりました。
アジアは一つ、国際的な見方をしなければいけないと思いながらも、第二次大戦のシーンになってみると、「中国人女優たちはどういう思いで日本人を演じていたか」と考えてしまいました。それはおいといて、アジア人同士は仲良くしなければならないのでしょう。まぁ、何にせよチャン・ツィイーはアジアン・ビューティ、アジエンスなのですから・・・とにかく美しい。
蛇足:コン・リーはGong Li と表記することを初めて知りました。ゴンちゃんだったのね。
【2005年12月映画館にて】
一般的な評価は低い作品ですが、高評価していただきありがとうございます。私も大好きな映画の1つです。私の1番のサプライズは、ハッピーエンドになったこと。流れからいって悲劇になるんではないかと思ってたので、嬉しいサプライズでした。