「ジョン・カーペンターの隠れた名作」ジョン・カーペンターの要塞警察 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ジョン・カーペンターの隠れた名作

2020年4月16日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

ジョン・カーペンター監督1976年の作品。この次作に『ハロウィン』。
日本未公開の低予算B級アクションだが、なかなか面白い。これぞ掘り出し物。

就任したばかりの警部補がとある警察署へ。移転作業中で留守や後片付けを任される。

移動中の護送車の中で一人の囚人が体調を悪くする。目的地までまだ遠く、仕方なくその警察署に立ち寄る。

ストリート・ギャングに娘を殺された父親が銃で復讐。追われ、警察署に助けを求め逃げ込む。

あっという間に警察署はストリート・ギャングたちによって包囲。
警官や囚人たちは協力し、立て籠りながら必死に応戦する…。

各々の動向で始まる序盤は他愛なく、ちと退屈。
が、ストリート・ギャングの一人がまだ幼い娘を無情に射殺するシーンはショッキング。
そして警察署へ、舞台が整った。ここから一気に面白くなる。
ストリート・ギャングたちによる銃撃の雨。迫力もあり。
容赦なく、一人また一人と死んでいく…。
武器も少なく、弾薬も減っていく。電話線も切られ、連絡の術も無い。孤立無援。絶体絶命。
ほとんど警察署内というワン・シチュエーション、限られた登場人物…低予算を逆手に取った見せ方に唸らされる。

メインとなる登場人物は、警部補、署の女性職員、囚人のリーダー。
彼ら3人で立ち向かい、ストリート・ギャングたちを倒すというのではなく、異変に気付いた何処かの警察署が駆け付け持ち堪えるまで。
ご都合主義のように倒すより、よっぽどハラハラさせる。
ありがちだが、次第に友情芽生える警部補と囚人リーダー、仄かに匂わせる囚人リーダーと女性職員。
少々ギザっぽいが、ユーモアも交え、さすがの職人ジョン・カーペンター!

本作はハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』からインスパイア。
また本作も2005年に『アサルト13 要塞警察』としてリメイク。
近年は『ハロウィン』もリメイクされたり、ただのB級チックなSFやアクションの鬼才ではなく、れっきとした名匠ジョン・カーペンターなのである。

近大