ROCK YOU! ロック・ユー! : 映画評論・批評
2001年10月1日更新
2001年10月6日より有楽町スバル座ほか東宝洋画系にてロードショー
全員見せ場あり!の脚本は「L.A.コンフィディンシャル」仕込み
中世の騎士物語を現代風に演出した青春ドラマだが、実に楽しめる快作。見てる最中もずっとニヤニヤしてたほど。
まず脚本がよく練られている。トントン拍子に展開する話にも無理がなく、人間関係が入り組んだ「L.A.コンフィデンシャル」をわかりやすく脚本化したブライアン・ヘルゲランドの力量に感心! 従者である主人公ウィリアムが死んだ主人に成り代わって出場した馬上槍試合大会に勝利する冒頭から、ライバルと出会い、貴族の娘と身分違いの恋をし、ヨーロッパ選手権のクライマックスまで一気呵成に見せる。
しかもウィリアムが高邁な騎士として成長する本筋と並行させ、登場人物のほとんど全員に見せ場を用意するという周到さ。これで物語に幅が出るし、キャラクターにも息が吹き込まれる。本当の意味での群像劇といえるだろう。ヒース・レジャーはじめとする出演者もノリノリで演じていて、非常に気持ちいい。
もちろん演出もイケてる。80年代ロックやファッション(ナイキのスウッシュ・マークまで登場!)、WWFやプロ・サッカーのノリで物語に勢いをつける。また英国文学の父と言われるチョーサーを登場させ、お文学の香も一滴。エンドクレジット終了後にお遊びのシーンまでつけた小粋なセンスには脱帽だ。
(山縣みどり)