楽園をください : 映画評論・批評
2001年2月1日更新
2001年2月3日よりシャンテ・シネほかにてロードショー
美形スターが結集!アン・リーが描くもう一つの南北戦争
台湾出身ながら「アイス・ストーム」で70年代のアメリカを撮り、「グリーン・デスティニー」では活劇もいけることを見せてくれたアン・リー。ここには彼のすべてがある。異邦人だからこそ、心ひかれただろう、永遠のよそ者のドイツ系青年と南軍派ゲリラたちの南北戦争下の青春。ああ、そうだ、原題は「Ride With the Devil」だったんだと思いださせる壮絶な銃撃戦。せつない邦題が似合いすぎる甘いラストへの突然の転調には戸惑うけれども、多少の不満は、これだけ各種美形を揃えていれば帳消しってもの。たとえ、屈折しているどのキャラも掘り下げきってないのが物足りなくても。
戦争中の「性春」の悶々すらもカワイいジェイクを演じるトビー君はもちろんグッドだが、なかでも妙に気になるのが元奴隷と強い絆で結ばれている紳士なジョージ役のサイモン・ベイカー。彼に目が行くのは、その奇妙な役柄への好奇心のせいだけじゃない。オーストラリア俳優が人気の昨今だけど、絶対、この人もブレイクするよ。 ああ、「レッド・プラネット」を見逃したのが悔やまれる。日本の女の子に受けない髭面だからでしょうけど、ポスターに入れてくれてないのは間違ってるわ!
(杉谷伸子)