ザ・プロフェッショナル : 映画評論・批評
2002年6月1日更新
2002年6月15日より日比谷スカラ座2ほか全国東宝洋画系にてロードショー
渋い男たちの「人生そのもの」を感じさせる強烈さ
先頃公開された映画で大ヒットを記録した「オーシャンズ11」。カジノの金庫を襲撃する11人組の活躍をまったりと描いたオール・スター映画だった。
この「ザ・プロフェッショナル」は、そんな「オーシャン」とは同じジャンルと傾向を持ってはいるものの(全米では両作品ともワーナーが配給した)、全く正反対の魅力を持った映画だ。
監督のデビッド・マメットは劇作家としてピューリッツアー賞を受賞、脚本家としても「評決」(82)と「ワグ・ザ・ドッグ/ウワサの真相」(97)でアカデミー賞に2度ノミネートされているベテラン。今回は高度なコン・ゲームの体裁を取りながらも、暴力描写を巧みに使い、裏切りと騙し合いにまみれた男たちを、泥臭くノワールなタッチで仕上げている。
そして渋いキャスト陣。ハックマン、デビート、リンドー、ジェイと、平均年齢は「オーシャンズ」の倍とくたびれてはいるが、人生の黄昏を迎えた男たちが最後の勝負に挑む様子は、あがきもがきながら苦悩する姿さえ見応えがある程だ。
1冊の長編小説ほどのプロットを脚本の段階にまで凝縮させたマメットの手腕が光る1本、最後の1コマは「人生そのもの」を感じさせる強烈さだ。
(編集部)