「舞台を見ているような作り、密室劇の神髄」十二人の怒れる男 チャンチャさんの映画レビュー(感想・評価)
舞台を見ているような作り、密室劇の神髄
始めて観たのは30年以上前高校生の頃。3本立てのうちの1本でお目当ての映画ではなかった。
ところが登場人物も少ない白黒の映画にあっという間に引き込まれ、二転三転する男たちの意見に、無罪なのか有罪なのかドキドキしながら見た記憶があります。
その後何度か見返してこの映画の素晴らしさが改めて分かったような気がします。
まず俳優たちの演技が素晴らしいですね。それぞれの人の個性が際立っていてアメリカ人のことをそんなに知らない私でも、実際にこういう人物がいそうと、すんなり受け入れられました。クールでありながら正義に対する情熱を持っている8番(ヘンリーフォンダ)は何よりかっこよかった。
演出は最小限の情報を小出しにすることで、観客の想像力を掻き立て、そのあとの展開が気になり前のめりにさせる。こういった手法は映画作りでは基本的なことかもしれないが、ここまでシンプルに作って成功している例は、未だ見たことがないですね。(下手をすれば序盤で観客が興味を失ってしまうリスクがある)
それから計算しつくされたカット割り。時には長回しがあり、いつの間にかスッとカットが入っていたり。舞台を見ているときの観客の視線を意識しているように感じられる。
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