「心臓の弱い人は絶対に観ないように」パッション(2004) あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
心臓の弱い人は絶対に観ないように
むかしキルケゴールという宗教哲学者を勉強したことがある絡みで、さんざん迷ったあげく観ました。
キリスト教、のみならず他宗教も含め、世の中の紛争や戦争というものは必ずどこかで宗教的な象徴主義が原因の一つになっている。最近では、象徴主義(&共産主義) 対 現実主義という構図で戦争が起きているといっても過言ではありません。ここでは象徴主義に限定して言えば、その汚点は人種や階級、男女差別を生み出したことだ。いくら愛や平等を唱えても、そういう潜在力が象徴主義には潜んでいるのだ。人は状況によっていとも簡単に変わるものです。
「ブレイブハート」の成功で自信をもったのかメル・ギブソン監督は、次に、裁かれるキリストを題材にした、とても凄惨残酷極まりない映画を作っちゃうんですね。勇気があるのかはたまた無神経なのか。いずれにせよ、よほどの狂信じゃなきゃ、こんな暴力的な映画はつくれない。そして、これが信仰の恐ろしいとこだと思うのです。それ一徹で完全に視界がふさがれているのです。宗教を信仰して世の中が平和になるとは、この映画からはとても思えない。でも一考に価する映画ではあります。
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