「ポランスキーのディケンズ」オリバー・ツイスト Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
ポランスキーのディケンズ
トーマス・ハーディ原作の「テス」の時は、それまでのポランスキー作品の趣向ではない違和感を持ちながらも、映画として感銘を受けたが、ポランスキーが古典的な作劇のディケンズを、尚且つ子供が主体の「オリバー・ツイスト」を映画化するとは予想外のことだった。(「テス」は昨年、タランティーノの「ワンスアポンアタイム・イン・ハリウッド」でシャロン・テートの”置き手紙”と知る)
リーンの「オリバー・ツイスト」から漸くカラー映像の大作で観られることに期待したが、結果としては、リードのミュージカル映画「オリバー」と同じく満足できなかった。
ストーリーテラーの面白さがなく、ポランスキーらしい演出の独自性も感じられなかった。唯一の関心は、ラストのオリバーの心の変化にスポットを当てたこと。人間の原罪に理解を示す点が、穿った解釈でポランスキーの人生行路と結びつくのだろうか。
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