「命よりも大切な想いに泣く!」日本沈没 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
命よりも大切な想いに泣く!
今は無きシネマデプト友楽で祖父と鑑賞。
原作は既読、1973年版は鑑賞済みです。
本作公開に合わせて小学館文庫から再刊された原作を読み、その情報量の多さと日本沈没と云う未曾有の国難のスケールの大きさに魅了されました。地震学に興味を持ち、関連する書籍等を読み漁りました。一時は地球科学方面の学部がある大学を目指そうとしたくらい、影響を受けました。
特撮ファンの信頼厚く、初監督作の「ローレライ」が抜群に面白かった樋口真嗣監督がメガホンを取ったと云うことで期待値が爆上がりしていましたが、それを上回る面白さでした。
ミニチュア特撮とVFXが融合したシーンは息を呑むほどの迫力。尾上克郎特技監督の手腕が惜しげも無く発揮され、これが「シン・ゴジラ」へ繋がるのかと思うと非常に感慨深い。
原作が「原作」ではなく「原案」なのではと思えるくらいストーリーは全く違っていましたが、未曾有の災害に直面した人たちの織り成す人間ドラマが深い感動を誘って来ました。
小野寺と玲子の恋愛模様がエモい。何も告げずに死地に赴く小野寺を玲子が追い掛け、主題歌をバックに抱き合い、名残を惜しむように見つめ合うシーンが最高。何回観ても泣ける。
小野寺を後押しする言葉として、小野寺の母の「命よりも大切なものがあるの」と云うセリフが登場しました。当時中学2年生だった私はそのセリフを聞いた時、衝撃を覚えました。
「命より大切なものは無い」とはよく聞くしまさしくその通りだと信じていましたが、大切なものを守ろうと思うなら己の全てを捧げる覚悟が必要なのだと気づかされました。
ラストはまさかの沈没阻止…!
初鑑賞当時はそんなに違和感を覚えませんでしたが、原作が何をテーマにしていたかを考えてみると、このラストはあまり良いとは思えなくなっている今日この頃であります。
[以降の鑑賞記録]
2007/01/19:DVD
2008/04/13:地上波初放送
2011/03/11:DVD
2021/10/30:DVD
※修正(2023/07/10)