「【”空想する劇作家が、父を亡くした少年に想像力の大切さを教える物語。”今作は、哀しい時こそ夢みる事の大切さを描いた、ピーターパン誕生真実を描いた静なる感動を齎すヒューマンドラマなのである。】」ネバーランド NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”空想する劇作家が、父を亡くした少年に想像力の大切さを教える物語。”今作は、哀しい時こそ夢みる事の大切さを描いた、ピーターパン誕生真実を描いた静なる感動を齎すヒューマンドラマなのである。】
■1903年のロンドンが舞台。
劇作家のバリ:ジェームズ・マシュー・バリー(ジョニー・デップ)は、若く美しい未亡人・シルヴィア(ケイト・ウィンスレット)と4人の息子たちと出会う。
新作が酷評され、妻であるメアリー(ラダ・ミッチェル)との間に距離が出来る中、父の死を受け、心の傷とひとり格闘する三男のピーター(フレディ・ハイモア)に、バリは空想の素晴らしさと物を書く喜びを教える。
ピーターは次第に持ち前の純粋さを取り戻すが、シルヴィアは深刻な病を患っていて・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤は、少しキツイ展開が続く。バリは新作が酷評され、妻メアリーとも距離が出来て行く。
・そんな時に出会った美しきシルヴィアと4人の息子たち。バリは自分の寂しさも紛らわせるために、彼女の息子達と空想の世界で遊ぶのである。
父を失った悲しみから、徐々に立ち直る息子達。そんな姿を見て、バリはシルヴィアと息子達を夕食に招くが、逆にメアリーの嫉妬を買ってしまう。
・そんな事もあり、バリは世間の噂も気にせずに、シルヴィアと4人の息子たちと頻繁に会い、交流を重ねていく。だが、三男のピーターは、純粋な心を持つが故に、心の傷は癒されない。バリはそんな彼の姿を見て、ある演劇を書き上げるのである。
■序盤から三男のピーターを演じたフレディ・ハイモアの、健気で可愛い姿に魅了される。因みに彼は、ジョニー・デップにその演技力を見初められ「チャーリーとチョコレート工場」のチャーリー・バケット少年に抜擢されている。
今作の気品ある風合は、若きジョニー・デップの哀しみを抑制した演技とケイト・ウィンスレットの姿に醸し出されているが、それに大きく貢献しているのがフレディ・ハイモア君であると思う。
・そして、新作演劇「ブラック・レイク島の少年漂流記」というシルヴィアの4人の息子たちと公園で遊んだ経験を基にして作り上げた作品が出来上がる。
着ぐるみの動物が出てきたり、それまでにない演劇で、支配人のチャールズ・フローマン(ダスティン・ホフマン)は成功を危惧するが、バリは彼に”席を25席用意してお老いてくれ。”と謎の言葉を残すのである。
そして、幕が開く前に孤児院の子供達が劇場のあちらこちらに用意された席に到着し、シルヴィアの4人の息子たちもやって来る。
ピーターパンが、あの有名な空を飛ぶ姿に子供達は大興奮。釣られるように大人達も彼の空想力と想像力が溢れた劇に魅入られて行くのである。
<そして、シルヴィアは亡くなってしまうが、彼女は息子達の後見人として、バリをそれまで否定的に見ていたデュ・モーリエ夫人(ジュリー・クリスティ)と共に、バリを指名していたのである。デュ・モーリエ夫人から、それまでとは違う柔らかい表情で”どうします?”と聞かれた時に彼は躊躇なく、”喜んで、子供達と一緒にいます。”と答えるのである。
今作は、哀しい時こそ、夢みる事の大切さを描いた、ピーターパン誕生真実を描いた静なる感動を齎すヒューマンドラマなのである。>