「とんでもない不条理殺人&逃亡ロードムービー」バッドランズ ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
とんでもない不条理殺人&逃亡ロードムービー
1950年代末に実際におきた事件を題材にしているとのことだが、
実に不条理極まりない殺人であり、逃亡ロードムービーだ。
ごみ収集で生業を立てていたキット(マーティン・シーン)が
ホリー(シシー・スペイセク)に一目惚れし、
ホリーとの交際を認めないホリーの父親(ウォーレン・オーツ)を
殺害してから逃亡劇となるのだが、
まずもってキットは躊躇なく愛するホリーの父親を殺しているので、
シリアルキラーであることは間違いない。
そして、ホリーも父親が殺されているのに、ふつう殺した男と一緒に逃げるか?
と考えると、人間的に何かが欠落しているか、あるいは、父親から離れたかったのではないか。
そういう節があることは描かれているので、間違いなさそうと認識。
シェリフや知り合いを躊躇なく殺しながら逃げていくキットには
やはりドン引きしてしまうが、途中までついていくホリーもいかがなものか?
おかしいよ、あなたたち。異常だよ。と思いながら観ていた。
ヘリ🚁で追われたときに、ホリーはもう逃げたくないと言い、キットと決別。
キットは捕まってからも、劇場的な語り口調で警察に対して受け答えしている。
そういう自分に酔っているのだろうと思うし、そういう生き方がしたかったのかなと。
警察から「ジェームズ・ディーンに似ている」と言われ、にんまりしていたので、
彼はジェームズ・ディーンになりたかったのだろう。
だから自分も若くして死ぬことに躊躇しないのではないか。
テレンス・マリック初監督作品であり、さすがの映像美。
『天国の日々』も素晴らしいが、こちらも素晴らしかった。
その映像美の中でも人、ホリー役のシシー・スペイセクの美しさ&キュートさは
際立っていて眼福だった。
ひどい話の中でも、シシー・スペイセクの存在に救われた気持ちだ。
先週、今週とテレンス・マリック監督作品を劇場鑑賞できてうれしい。