「ショーン・ビーン」ナショナル・トレジャー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ショーン・ビーン
仲間を裏切ることにかけては天下一品のショーン・ビーン。『RONIN』『LOTR』と、彼の存在がなければ物語が引き締まらないくらいに悪役へと変身して、観客に嫌われようがかまわずに突っ走ってくれる。そして、今作でも彼は期待を裏切らなかった。
北極から冒険は始まった。そして全世界を股に掛け、『インディ・ジョーンズ』のように痛快な冒険アクションへと展開する・・・と期待していたが、ワシントンDC、フィラデルフィア、NYと、ご近所さんでの移動ばかりだった。観光名所が随所に出てくるので飽きはきませんが、アドベンチャーという言葉に負けないくらい「壮大なスケールの物語」のようなモノが欲しかった。ゲイツ親子の対峙や少年時代のエピソードからも、つい『インディ・ジョーンズ最後の聖戦』と比較してしまうし、ジョン・ヴォイドが父親ということで『トゥームレイダー』をも思い浮かべてしまう。結果、勝っているのは設定の大胆さと謎解きの面白さだけという、こじんまりとした仕上がりに思えてしまうのです。
細かいツッコミ箇所も確かに多いけど、そんなときは何でも爆発させればいいというブラッカイマー節が全開でした。そして、なぜ秘宝がアメリカにあるのかなどと考えてはいけないのです。“ナショナル”というタイトルが示すように宝は全部アメリカの所有であり、中国人をモデルにしたような彫像があってもすべてアメリカの物!とにかく、全てアメリカ万歳なのだ。まぁ、ラストの台詞でそれらの危惧は払拭されますが、ちょっとくらい世界に目を向けてくださいな・・・
新人ジャスティン・バーサの、口数は少ないものの、一言しゃべるたびに笑いの起こるキャラや、ベテランハーヴェイ・カイテルのしぶい演技がなければ面白くない映画になったでしょうね。
【2005年3月映画館にて】